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村山早紀「コンビニたそがれ堂 奇跡の招待状」
コンビニたそがれ堂―奇跡の招待状 (ポプラ文庫ピュアフル)コンビニたそがれ堂―奇跡の招待状 (ポプラ文庫ピュアフル)
(2010/01)
村山 早紀

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「コンビニたそがれ堂」シリーズ第二弾。

元版が児童書だった前作とは違い、本書は文庫書き下ろしです。



お父さんの再婚で、新しいお母さんができた小学四年生の さゆき。

お父さんの故郷である風早の街には、一週間ほど前に引っ越してきたばかりです。

風早の街に買った古い小さな庭つきの家を、お父さんとお母さんが 住める状態に整えていた 冬休みの二週間、さゆきは 亡くなった前のお母さんの実家に預けられていました。

風早よりも北の 山の中にあるその村の 雪が降り積もる森の中。冬休みを一緒に過ごした懐かしい友だちに、さゆきは会いたくてたまりません。

新しいお母さんは綺麗で優しくて素敵な人だけど、慣れない都会はちょっと怖くて、それに、田舎にいる時に偶然聞いてしまった おばあちゃんとおばさんの会話も さゆきを不安にさせていたのです。



もしかして、もしかして、ママが嫌いで、わざと帰るのが遅くなったなんて誤解されたらどうしよう?

(中略)

さゆきは、いっしょに暮らし始めたばかりの、新しいママのことを思いました。
明るい笑顔と優しい声。いつもさゆきのことを喜ばせようって考えてくれている素敵なお姉さん。
あの人を傷つけようなんて、ぜんぜん思ってもいないのに、もし、勘違いされたら。




道に迷った さゆきが、そんなことを思いながら歩いていた 一月のある夕方、辿り着いたのは コンビニたそがれ堂。

長い銀の髪に金の瞳の店員さんが迎えてくれる、あたたかく懐かしいお店の中で さゆきの目にとまったのは「魔法の葉書」でした。

「送りたい人に必ず届く」というその葉書に、さゆきが書いた宛名は…
(雪うさぎの旅)




ある出来事がきっかけで、ひきこもりになってしまった17歳の真衣。

これでは駄目だと自分でも思っているのに、仕事を探しに行こうとしては外に出られず、勉強しようとしては参考書を開くこともできず。

一日中自分の部屋に閉じこもり、オンラインゲームの世界で遊ぶ日々。

二年もそんな生活を続けていれば当然 高レベルプレイヤーになり、ゲームの世界の真衣はちょっとした有名人です。



現実世界で過ごすべき時間を捨てて、現実から逃避して、一見明るく見える、電脳世界のまぶしい暗がりの中で遊んでいるだけ。
その時間が無駄に長いだけ。
通りすがりのプレイヤーから、言葉を投げかけられたこともあります。
『おまえさ、リアルじゃ「廃人」だろう?』
その言葉が、真衣の胸に刺さりました。




そんな真衣が、ある日、ふと 「いきなり、『職探し』なんてこと、やらなくてもいいんじゃないかな?」と気付きます。

そんなの、ゲームの世界と同じで、レベルの低いキャラクターが いきなり難しいクエストに挑戦するようなもの。

だったら、まずは家を出て、街に行って、何か小さな買いものをして帰ってこようと思い立ちました。

それから少しずつ、遠くに行けるようにがんばろうと。


お母さんに、何か夜食になるようなものを買って帰ろうと立ち寄った「コンビニたそがれ堂」で、真衣の目にとまったのは「奇跡の招待状」。

『パーティに招きたい「誰かさん」を、呼ぶことができる、魔法の招待状です。カードに名前を書きさえすれば、必ず、その人はあなたの元へ。』という信じ難い説明書きが添えてあります。



「気をつけてくださいね。今夜はハロウィン。不思議な力は強く働きます。どんな願いごとでも叶ってしまうかもしれません。けっして叶ってはいけないような願いごとさえも」 (人魚姫)




「クリスマスの思い出」についてのエッセイの執筆依頼を受けている作家の薫子。

小説やブックレビューに比べてエッセイは苦手な上、「女の子らしい記憶の在庫がない」と、困り果てて部屋を見渡せば 目に留まったのは一冊の写真集。

今はもう絶版の、外国の湖の写真集です。

十年前の十二月の朝、その写真集を押しつけるように薫子に渡し、旅に出た友人は、それっきり戻ってきませんでした。

学部もサークルも同じで、名前が薫子と一字違いの 佐藤薫。

語学が堪能で、機転の利く風来坊だった薫は、思いつきで旅の行き先や期間を変えることもしょっちゅうだったため、誰もが、彼はそのうち帰ってくるだろうと思っていたのです。


あれから十年。

「この本、いつになったら、取りに来るんだろう?」

置き去りにされたのは本だけではなく、クリスマスの食事の約束もでした。

「もう十年たったんだもんね。引っ越してもいいのかもしれない。潮時なのよ、きっと」


十二月に入ってから、真夜中の謎の騒音に悩まされるようになった薫子は、引越しを決意します。

不動産屋に行く途中、「コンビニたそがれ堂」に迷い込んだ薫子が、見つけたのは「ペンジュラム」


「なくしたものを探し出すことができる、不思議な魔法の振り子です。質問に答えることもできます。願いごとも叶えます。道に迷っても大丈夫。帰り道を教えてくれます。」 (魔法の振り子)




戦国時代、ある地方の海辺に栄えた、一つの国のお話。

その国の若君に可愛がられた美しい黒猫は、愛する人々を殺された恨みから 恐ろしい魔物に変わりました。


「……ねここや、ねここ。わたしが死ねば、この国は終わってしまう。もうそれは決まったことのようだけれど、でも、少しでも長く、わたしはこの地上に生きていたいんだ」
(エンディング~ねここや、ねここ)







※以下、ちょっとだけネタバレありです。未読の方はご注意ください。








前作と比べると全体的に内容が重く、切ないゴーストストーリーといった印象。


唯一「雪うさぎの旅」だけはそうでもなかったけれど、父親の再婚と慣れない都会暮らしに不安定になっている さゆきが、真っ先に「会いたい」と思い浮かべるのが自分で作った雪だるまと雪うさぎって…

百歩譲って、ほんっっっとに、十年生きてきてただの一人も友だちができなかったのだとしても、それってあまりに絵空事めいていて説得力がない。

おばあちゃんとおばさんに作ってもらったお弁当を、冬のさなか、雪の積もった森で食べるというのも、なんだかなぁ…

まともな大人なら、子どもにお弁当を持たせて一人で冬の森に行かせたりはしないと思うけど。


命を持たない者に 徒らに命を与えて、挙句 野垂れ死にさせてしまったような、嫌ぁな後味でした。



「人魚姫」の、「ハロウィンの晩に、本物の死霊に化かされる」っていうのは、ちょっと洒落にならないというか。

まさか このシリーズでそんなホラーな展開あるわけないと思っていても、怖かったなー。


優しいゴーストに背中を押されて、やっと歩き始めた真衣の 未来を暗示するかのような光あふれるラストシーンが素敵。



うっかり大泣きしてしまったのが「魔法の振り子」

でも、冷静になって考えてみると、「頼むから成仏して!」と思います。やっぱり。

幽霊の恋人とずっと一緒に暮らすなんて、不毛すぎる…



「ねここや、ねここ」は…

う~ん。生まれ変わりって、そりゃ、あるとは思うけど…

昔々の殿様と奥方様と若君と、ついでに若君の乳きょうだいだった娘までが 生まれ変わって一つの家族を成してるっていうのは、いくらフィクションだからってあんまりだと思います。

その上、みんながみんな 前世を連想させるような職業に就いてたり部活をやってたり。

失笑を買いそうな設定だと思うんだけど、本になるまでに誰もツッコミ入れなかったんだろうか?




誤植も気になったし、なんか、いろいろと残念。

私は前作のほうが好きだなぁ。



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[2011/04/16 17:48] 村山早紀 | トラックバック(0) | コメント(2) | @
村山早紀「人魚亭夢物語」
人魚亭夢物語 (新しいこどもの文学)人魚亭夢物語 (新しいこどもの文学)
(1999/08)
村山 早紀

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「コンビニたそがれ堂」「カフェかもめ亭」と同じく、風早の街が舞台のお話です。


この本の表紙を見た途端、娘が「ジブリの絵に似てる」と言ったのですが、私には特にそうも思えなくて。

ところが、挿絵の森友典子さんは元アニメーターで、ほんとにジブリのお仕事もなさっていたそうです。

奥付けページの紹介欄に、「『もののけ姫』でアニメーター生活に終止符を打つ。」とあります。

カバーイラストは、正直言ってあんまり私の好みではないのですが、人魚亭を描いた挿絵は、お店の内部も 外の佇まいも素敵。



人魚亭は、かもめ亭とよく似た雰囲気のカフェで、マスターが 海にちなんだ名前を持つ若い女性だという点でも、かもめ亭とイメージが重なります。(あちらは広海、こちらは真波。)

主人公は小学四年生の弥子で、人魚亭は弥子の行きつけの(!)喫茶店。

小学生が学校帰りに喫茶店に寄るなんて、決して感心できることではないけれど、弥子の家はお父さんが単身赴任中で、お母さんは仕事で帰りが遅くなることも多く、家に帰ってもひとりぼっち。

真波さんが「おかえりなさい」と迎えてくれて、親身に話を聞いてくれて、美味しいお茶が飲める素敵なカフェは、弥子にとってはかけがえのない憩いの空間なのでした。


ハンバーガー屋さんなら、紅茶は一ぱい百五十円。"本日のお茶"は三百五十円。高い。
でもこのお店で、きれいなカップで、真波さんに最高のお茶を入れてもらえてのめて、しかもポットで出てくるから二杯はのめる!
これっておとなのせんたくよね。私は、ちょっとだけ胸をはる。



それでもやっぱり、小学生のお小遣いではしょっちゅう立ち寄るわけにはいかないけれど。

こんな素敵なカフェを行きつけにしてる小学生、うらやましいなぁ。



「この角を曲がると異次元に行く」とか「今まさに空飛ぶ円盤がおりてくる」とか、そんな フィクションみたいな出来事が ほんとにあればいいなぁと思いつつ、心のどこかでは「そんなのあるわけない」と思っている弥子。

ところが ほんの短期間に、立て続けに お話のような出来事に遭遇するのでした。


伝説の怪盗「銀ぎつね」に、港を根城にする盗賊「黒犬団」、妙音岳に埋まっているという隠し財宝の噂。


都市伝説もどきの噂に過ぎないと思われていたそれらが、「ししゅうする少女」という絵によって繋がったことで俄かに現実味を帯び始め、その絵をめぐる一連の事件にすすんで巻き込まれた弥子が、嘘みたいな冒険をするという…

そこに、前世の約束やら 真波さんが実は○○○だったことを示唆するエピソードやら 風早に伝わる数々の伝説やらが絡んで織り成す、まさに夢物語。


「かもめ亭」や「たそがれ堂」に比べると対象年齢がかなり低く、児童書らしいといえばその通りなんだけど……う~ん。なんか物足りない。

「夢みたいな出来事」だからこそ、そこにリアリティーを持たせるべく、「銀ぎつね」が怪盗になった背景とか、伊東さんが あの絵に執着する理由について(ただ綺麗だからというだけでなく)、何らかの説得力のあるエピソードを添えるとかすれば、もう少し読み応えがあったかも。

言葉は悪いけど、子どもだましの「夢物語」で終わってしまった感じ。

優れた絵本や児童文学は大人の鑑賞にも十分堪えうるというか、子どもが読んで面白いものは大人が読んでも面白いと思っているので、「児童書だからこの程度でいいんじゃない?」とは思えないんですよねぇ…


でも、「かもめ亭」や「たそがれ堂」には名前だけしか出てこなかった「真奈姫川」や「妙音岳」に関する伝説が出てきたり、マルコ・ポーロの「東方見聞録」の記述にあるような「黄金の国」だった頃の風早の話が真波さんによって語られたりと、その辺りは面白かったかな。


それにしても、風早の街って、白狐の神さま「風早三郎」だけでなく、妙音岳の女神や竜宮の女神にまで護られているっていうのが、恵まれすぎてて都合が良すぎるような気もしないではない(笑)



風早の街を舞台にしたお話は、他の出版社からも多数出ているようで、文庫版「コンビニたそがれ堂」の解説によると、「出版社をまたにかける隠れシリーズものなのです。昔々、いまのような長編ファンタジーブームが来るとは知らなかった頃、新人作家だったわたしは、どうしても大長編が描きたくて、『一冊一冊は別の本でも、よく読むとシリーズものになるように本を書けばいいんだ』と、この方法を思いついて、密かに『風早街サーガ』と呼んでいました」とのことです。


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[2011/04/06 17:10] 村山早紀 | トラックバック(0) | コメント(0) | @
村山早紀「カフェかもめ亭」
カフェかもめ亭 (ポプラ文庫ピュアフル)カフェかもめ亭 (ポプラ文庫ピュアフル)
(2011/01/06)
村山早紀

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「コンビニたそがれ堂」と同じく、風早の街が舞台の短編集。

2001年に「ささやかな魔法の物語 カフェ・かもめ亭」というタイトルで刊行された児童書に加筆・訂正し、書き下ろし中編を加えて、今年やっと文庫化されました。

この元版をずっと前から探していたのですが、Amazonマーケットプレイスに常に何点か出品されていた古本は、どれもかなり高くて。

5年も後に出た「コンビニたそがれ堂」が先に文庫化されているのだから、この本もそのうちきっと…と思うと、定価より高い古本を買う気にもなれず、辛抱強く待ち続けた甲斐がありました。


ただ、「ささやかな魔法の物語」のカバーイラストがすごく好きだったので、ちょっと残念。

文庫版の表紙も、あたたかな色合いの絵で 決して悪くはないのですが…




古い歴史をもつ海辺の街、風早の街。
その港のそばの、明治時代からの洋館が今も建ちならぶあたりに、わたしの店はあります。



こんな書き出しで始まる「カフェかもめ亭」

帆船の客室やイギリスのパブをモデルに、オークの木と煉瓦で作られた重厚な建物ですが、壁をはう蔦の葉やゼラニウムの鉢がかわいらしさを添えています。

扉にはめ込まれたステンドグラスの図柄は、青い海に歌う人魚姫と その頭上を舞うかもめの群れ。

貝殻で作られたかもめのモビールが揺れ、店の真ん中では小さな自動ピアノが懐かしいメロディーを奏でています。

マスターは、祖父から店を引き継いでまだ数年の広海(ひろみ)。

曽祖父の代から70年近く続くカフェかもめ亭には、様々なお客がやって来ては 不思議な話を聞かせてくれるのでした。




「マスターは、生まれ変わりって、信じます?」


店の壁に貼られたばかりのポスターを目にして、そう話し始めたのは、常連の高校生 澪子。

彼女が小さい頃からよく見るという夢の話。

その夢の中で、澪子は砂漠をひとりで旅する12歳くらいの少女です。

わずかな水と食糧と、短剣を渡され、親に捨てられた子どもでした。

その少女が砂漠で見つけた、枯れた大きな木と、その根元に湧く小さな泉。

そのほとりに、ある日 奇跡のように芽吹いた緑。

驚くほどの速さで生長したその草は、やがて蕾をひとつつけるのですが… 


いつもいつも、心の中に青い色があったんです。
その色がとてもなつかしいから、いつも青い色を追いかけてきました。
何だか、のどがかわいているみたいな気がいつもしていたんです。
でも、もう、みつかりました。
世界で一番きれいな青い色。あの日の、空と泉の水の色。
あの花の色が、わたしの青色です。
 (砂漠の花)




「七つの海の彼方から、今日もいろいろ持ってきましたよ、マスター」


世界中を飛び回って雑貨を仕入れてくる寺嶋雑貨店の主は、店に飾られた青い紫陽花を見て、子どもの頃の思い出を語り始めます。

小学五年生の初夏に訪ねた、紫陽花の咲き誇る美しい屋敷。

真っ白なコリー犬を従えた、「あずさ」という名の少年。二人の弟と、優しい両親と祖父。

世界の果てにあるという地球樹の話をしてくれた あずさは、一体何者だったのか?

二度と辿り着くことができなかったあの屋敷は、そしてあの一家は、現実に存在したのだろうか? 


今もぼくは、遠い国を旅している時、この国に、あの世界樹の庭があるかもしれない、あの不思議な青年と会えるかもしれない、と思うんです。
そうして、美しいものや珍しいものをみつけて日本に持って帰るたびに、どこかの街角で、あずさに出会い、あのなつかしい家族たちと会って、「ほらこんなものを持ってきましたよ」と、みせてあげられるような気がするのです。
 (万華鏡の庭)




カウンターに飾られた 「テディ・ベア」という名のバラを見て、昔の友だちのことを思い出したのは、もうすぐ高校生になる かおる。

小学四年生の頃、何もかもがモノクロにしか見えなくなった眼に ただひとつ色がついて見えたもの。

公園で出会った茶色いとら猫を、かおるは「ねこしまさん」と呼んでいました。

学校に行けなくなったかおるの たったひとりの友だち ねこしまさんは、どうやら「猫の国」の王子さまだったらしいのですが… (ねこしまさんのお話)



ほかに、「銀の鏡」「水仙姫」「グリーン先生の魔法」「かもめ亭奇談」「クリスマスの国」の五編を収録。

書き下ろし中編「クリスマスの国」は、その日初めてかもめ亭を訪れたお客さまが語り手で、なんと彼は「コンビニたそがれ堂」で探しものを見つけてきたばかりです。




どのお話も、美しいけれど どこか哀しい。



私は、「砂漠の花」がいちばん好きです。

花を咲かせた少女と、その花に救われた旅人と。

自分が それと知らないままに救った命があることを、長い長い時を経て知ったあの子は、もう 砂漠の夢を見なくなるような、そんな気がします。


少女と旅人、双方の物語を知っているのは今のところマスターだけですけれど…

後に、澪子はきっと、マスターか 例の友人のどちらかから 砂漠の旅人の物語を聞くに違いないと思うので。



「万華鏡の庭」は、阿刀田高さんの短編にありそうな(あちらはもっとうんと大人向けですけれど)、ちょっと奇妙な味わいで、これも好き。

紫陽花の屋敷も、「あずさ」も、結局何だったのかは明かされないままですが、きっとそのほうが良いのだと思います。

不思議は不思議のままがいい。

どんな出来事も合理的に説明できてしまうなんて、つまらないじゃないですか。

読者は、あの屋敷は、現実の時の流れとは違うところに在って、あの日たまたま現世と繋がっていたところに寺嶋少年が迷い込んだのだとか、それとも 寺嶋少年が かつてあの屋敷が存在した時間にタイムスリップしたのだとか、いろんな想像を巡らせるのです。





八編の中には、一見不思議な話でも からくりの解るものもあれば、「万華鏡の庭」のような正真正銘不思議なお話もあります。


書き下ろしの「クリスマスの国」、本来なら哀しい結末を想像してしまう展開なのですが、「たそがれ堂」に辿り着いたのなら きっと大丈夫!と思えてしまうからすごい(笑)

そこでプレゼントを見つけられたのなら、きっとアリスに会えるはず。それを渡せるはず。


風早の街は、私の中で徐々にリアリティーを増していってます。


元版の表紙はこちら↓

ささやかな魔法の物語―カフェ・かもめ亭 (ポプラの木かげ)ささやかな魔法の物語―カフェ・かもめ亭 (ポプラの木かげ)
(2001/12)
村山 早紀

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ああ、こんなカフェが近くにあったら、間違いなく常連になるんだけどなぁ…




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[2011/01/30 00:38] 村山早紀 | トラックバック(0) | コメント(4) | @
村山早紀「コンビニたそがれ堂」
コンビニたそがれ堂 (ポプラ文庫ピュアフル)コンビニたそがれ堂 (ポプラ文庫ピュアフル)
(2010/01)
村山 早紀

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こんなコンビニ、ほんとにあったらいいのになぁ…と、何度も思いました。



風早の街の 駅前商店街のはずれに、夕暮れ時、古い路地の 赤い鳥居が並んでいる辺りに 時折あらわれる不思議なコンビニ。

もしかすると、それはいつもそこに在るのかもしれません(ただし、営業時間は夕暮れから明け方までです)。

でも、そのコンビニを見つけられるのは、大事な大事な探しものをしている人だけなのです。



そのコンビニには
この世で売っている すべてのものが
並んでいて
そうして
この世には売っていないはずのものまでが
なんでもそろっている というのです




中に入れば、ぐつぐつ煮えているおでんと 作りたてのお稲荷さんの甘い匂い。

レジの向こうでは、長い銀色の髪に金の瞳のお兄さんが「いらっしゃいませ」と、笑顔で出迎えてくれます。





江藤雄太。小学5年生。

中学生にいじめられていた年寄り猫を 傷だらけになりながら助けるほどの猫好き。もとい、正義漢。

猫が縁で仲良くなったクラスメイトの美音は、猫好きなのに猫アレルギーの、可愛くて優しい女の子でした。

その美音が、遠くへ引っ越す前に 雄太に手渡そうとした大事なもの。

友だちに冷やかされるのが嫌なばっかりに、美音が差し出したそれを咄嗟に払いのけてしまった雄太は、その後ずーっと後悔しています。


きっとあの子は、さみしい悲しい気持ちのままで、日本とお別れしたんだ。おれは最低だ。あんなやさしくて、いい子を傷つけちまったんだ……
(コンビニたそがれ堂)




十一月の ある寒い夕暮れ。

お母さんに捨てられたリカちゃん人形を、目に涙をためて探しているのは、小学3年生の えりか。

普段は優しいのに 何かのきっかけで人が変わったように理不尽にえりかを叱るお母さんは、その日、「えりかが部屋を片付けないから」という理由で リカちゃん人形を捨ててしまったのでした。



でも、ママは本当の本当は、あたたかい心を持った、素敵な人なんだ。ほんとはやさしくなりたい女の人なんだよ。パパはわかってる。えりかもわかっているよね。 (手をつないで)




ラジオ局のアナウンサー、野々原桜子。

来年は三十路。田舎の両親には結婚を急かされ、大好きな仕事にも何やらむなしさを覚える今日この頃。

なぜって、桜子がラジオで話す言葉は、電波にのって街中に広がるものの、それっきり消えてしまって どこにも残らないものだから。


わたしがこの街に生きて、毎日ラジオで音楽を流して、しゃべってることって、意味があることなんだろうか? (桜の声)




重い病気を患う猫のあんずが欲しがったのは、人間になれるキャンディ。

寿命を縮めるほどの強い魔法だというけれど、自分を拾ってくれたお兄ちゃんと その家族に、死ぬ前に一度だけでも 人間の言葉で話したかったのです。

緑の瞳の綺麗な白猫は、白いワンピースを着た綺麗な女の子になりました。



……会いにきてね

あたしはもう、ここからいなくなるけれど、星の海で、待ってる。
(あんず)






人々が(時には猫も) たそがれ堂で見つけるものは、探しているものそのものずばりとは限りません。

でも、それは、探しものの向こうにある ほんとうに欲しかったものへと繋がる 何か。

たとえば、「手をつないで」の えりかが見つけたリカちゃんは、えりかのリカちゃんではありませんでした。

けれど、えりかが見つけるのは、あのリカちゃんでなければならなかったのです。



「桜の声」の桜子も、あのストラップを探していた というわけではなく。

彼女の出合った不思議なできごとは、たそがれ堂の魔法というよりは 公園の桜の古木が起こした奇跡のようにも思えます。

季節や時期によっては、思いがけないほど遠くまで届くことがあるというラジオの電波。

それなら、稀に時を超えることだってあるんじゃないかと思えてきます。


桜子の声と 音楽が、時を超えて桜の木から花びらとともに降る。そうしてそこで、死にそうになっていた誰かを勇気づける。

消えてしまってどこにも残らないと思っていた言葉が、確実に誰かの心に届いて希望の灯をともしていたのです。

それはまた、桜子の 明日への希望ともなるのでした。





この本の主人公たちが抱える痛みや悲しみは、大人なら誰しも 多少なりとも覚えのあるものだと思います。

残念ながら、現実の世界に コンビニたそがれ堂は存在しないので、私たちは 痛みも悲しみも 叶わなかった願いも そのまま抱いて生きていかなくてはなりません。

もしもあの時ああしていたら…と、あったかもしれないもうひとつの未来を思って、切なくなることだってあります。

この本はきっと、そんな「もしも…」の続きを見せてくれているのでしょう。



元版は、2006年に刊行された児童書。

この文庫版は、大人の読者向けということで 漢字も文章量も増えているそうです。



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[2011/01/21 16:39] 村山早紀 | トラックバック(0) | コメント(6) | @
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