さよなら子どもの時間
さよなら子どもの時間 (講談社文庫 い 15-1)



「ブログやめます」のご挨拶ではありませんので、念のため。



小学生の頃、定期的に読みたくなる本というのが何冊かあって、この本はその中の一冊でした。

安房直子「ハンカチの上の花畑」「まほうをかけられた舌」「ライラック通りのぼうし屋」、寺村輝夫「ぼくは王さま」、あまんきみこ「車のいろは空のいろ」「おかあさんの目」、那須正幹「チカちゃんは四年生」、佐藤さとる「だれも知らない小さな国」、そしてこの本 今江祥智「さよなら子どもの時間」です。


…おお。こうしてタイトルを並べてみると、もうそれだけで 心は小学校の図書室に飛べそうな(笑)


いろんな本を借りましたが、図書カードには 合間合間に上記のタイトルが順不同で挟まっていました。


中には、高学年になると借りづらくなって、借りて帰るのではなく 図書室の片隅で読んだ本も。

あと、「だれも知らない小さな国」は 近所のおねえさんのおさがり(?)が家にあったので、借りたことはなかったなぁ…




「さよなら子どもの時間」の、何がそんなに好きだったのかといえば、風邪で寝込んだ主人公の健ちゃんに、家族みんなが交替で 一晩に一つずつとっておきのお話をしてくれるという その設定。

それが、もう、ものすごーく羨ましくて!
自分がお話をしてもらっているような気分になって、何度読んでも わくわくしたものです。


親友の弘くんに、「健ちゃんっていいなあ……。」と羨ましがられるほど「なんでもそろってる」健ちゃん宅ですが、実情はそうでもありません。

おじいさんにおばあさん、おとうさんにおかあさん、にいさんにねえさん。

弘くん言うところの「なんでもそろってる」家族ですが、みんなが揃うことは稀なのです。



おじいちゃんは歴史家、おばあちゃんはお琴の先生、おとうさんは国際線のパイロット、おかあさんは水族館に勤める魚のお医者さま(魚類防疫士?)、ねえさんはSF小説家を目指すテニス部員の中学生、にいさんはボーイスカウトの仕事を手伝う高校生。


みんながみんなフットワークの軽い働き者で、家でひとり ぽつんとしている小学四年生の健ちゃんの面倒を見てくれるのは、昔から家にいる ばあやさんだけなのです。



「ぼくって、小さいときから絵本一つ読んでもらったことがない、お話一つしてもらったことがなかったみたい……」

「ぼくには、子どもの時間がなかったんだ……」




健ちゃんがそう思うのも、無理からぬこと。


ところが、この冬休み、毎晩ずーっと家族中が揃って家にいることになった奇跡の一週間、それにあわせたみたいに健ちゃんが風邪をひいて寝込みました。

おばあちゃんの提案で、家族みんなが健ちゃんのために、一晩に一つずつお話をしてくれることになった一週間は、健ちゃんにとって 「うしなわれた子どもの時間が、まとめてかえされたような」気がする それはそれは貴重な時間でありました。



うしろの正面(おばあちゃんの話)、羅漢さま(おじいちゃんの話)、ふたりのバラ(かあさんの話)、海のクリスマス(とうさんの話)、赤んぼばんざい(ねえさんの話)、くいしんぼうも、わるくない(にいさんの話)



思い出話だったり、創作だったり、誰かから聞いた話だったり……

どれも 不思議で、時にはどきどきわくわくしたり、くすっと笑ってしまったり、ちょっと怖くなったりの 素敵なお話です。


あんなに何度も借りて読んだのに、私が鮮明に覚えていたのは にいさんのバクのお話だけでした。

あとは断片的に、虹色の糸とか、赤ちゃんとUFOのこととか。


けれど、タイトルと作者の名前はよーく覚えていましたので、ネットで古本を探すにはじゅうぶんでした。

あの頃 図書室で借りた あかね書房のハードカバーは、なかなか古本市場に出回らないようで、手頃な価格のものが見つかりませんでしたが、講談社文庫版はけっこう出回っているようです。


講談社文庫版の挿絵も 元版と同じく宇野亜喜良さんですし、こちらには「海のおくりもの」という短編も併録されていて、おまけに解説が桃井かおりさんです!


あとがきによると、「この作品は、戦争と敗戦によって、まともな子どもの時間を、なしくずしに消されてしまった おのれの少年時代のことを考えていて書いたもの」とのことで、桃井さんもまた 解説の中で「うかつになくした子どもの時間を今、どうにかしてとりもどしたいと願います」とおっしゃっていました。


このお話の健ちゃんは、あの奇跡の一週間からしばらくして、あることがきっかけで自分から「子どもの時間」にさよならを告げます。

それはさわやかで素敵な結末でしたけれど、私は、ほんの少し 寂しくて。

「子どもの時間」にさよならするのを惜しむように、今でもこうして、昔好きだった本を読み返しては あの頃の記憶をなぞっています。

作者の今江さんが、優しくて懐かしいお話を書くことで「子どもの時間」をやり直しているように、読者はきっと、そうして書かれたお話を読むことで「子どもの時間」をやり直すのです。



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テーマ:児童書 - ジャンル:本・雑誌

[2011/04/23 17:02] 今江祥智 | トラックバック(0) | コメント(0) | @
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