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青い花
青い花 (岩崎創作絵本)青い花 (岩崎創作絵本)
(1983/01)
安房 直子

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梅雨時になると、思い出すのがこのお話です。


「かさや」といっても、傘の修繕を生業とする青年がいました。
長雨の後のたくさんの傘の修理で、いつになくたくさんのお金を手にした彼は、大喜びで買いものにでかけます。


さっそく、やねのしゅうりをしよう。
それから、まどにあたらしいカーテンをかけよう

それから、あぶらえのぐを一はこと、あたらしいギターと、それから……



そんなことを思いつつ町へ向かう途中、そぼ降る雨の中、傘もささずに立っているちいさな女の子を見つけました。

その女の子に傘を作ってあげると約束した彼は、自分が買うつもりだったもののことなどすっかり忘れ、傘に張る生地を選ぶため、女の子を連れてデパートへ。
女の子が選んだ青い生地は、白いカーテンの三倍もの値段がしたけれど、青年は迷わず買い求めました。


出来上がった傘を女の子に手渡した時の、ふたりのやりとりが素敵です。


「海の色ににているわ」
と、女の子はいいました。
「うん、ぼくもそうおもったよ」
「このかさをさしていると、まるで青いやねの、いえのなかにいるみたい」
「ああ、ぼくもそうおもった!」
かさやは、すっかりうれしくなりました。



さて、その日を境に、なぜか、小さなかさやの店には「青い雨がさをつくってください」という注文が殺到します。
町じゅうの女の子が青い雨傘をさすようになり、また、そのことが新聞記事になると、注文は更に増えました。


かさやの青年は修繕を断り、ひたすら青い雨傘だけを作り続けます。
修繕のために預かっていた傘はほったらかし。
その傘を取りに来たお客の顔さえ見ようとはしません。


安房直子さんのお話には、しばしば「人」ならぬもの(例えば小人や花の化身)と人との交流が描かれますが、どのお話も人より「人」ならぬものたちのほうが辛抱強くて誠実です。
「人」として彼らに謝りたくなる(笑)


青い傘の注文がぱったりやんで、かさやの店に来るお客が誰もいなくなって初めて、青年は気付くのです。
壊れた傘を取りに来たのが、あの女の子だったことに。


「あたし、なんどもきたの」


女の子はそれしか言いません。責めるでもなく、ただ悲しそうな目をするだけです。
なんだかこの感じ、覚えがあるなぁと思ったら、「まほうをかけられた舌」の小人の「ずいぶんまちましたよ。」という言葉に似ているのでした。

怒っているのではなく、ただ悲しそうなその言葉に、主人公が「ごめんよ」としか言えないところも。
昔話なんかだと、こういう場合「ごめん」で済むことはほとんどありませんが、安房さんのお話はそうではなく。
目先のことに夢中で、たいせつなものを置き忘れてきた人間に、「しかたないなぁ」と苦笑しつつ、それでも待ってくれる優しさが、彼らにはあります。
忘れものを見つけたら、もう一度やりなおそうと手を差し伸べてくれるような。


いちばん最初に、まごころこめて作った傘をなおしながら、青年は思います。


それからあと、じぶんは、どれだけたくさんのかさを、なにもおもわずに つくってきたことでしょうか……。
そして、海の色にも、空の色にもにていない、ただの青い雨がさが、どれだけ町にあふれたことでしょうか。
かさやは、なんとなくぞっとしました。



修理を終えた雨傘を女の子に渡すため、青年は約束の場所へと急ぎます。


雨に滲むような紫陽花の色が、泣いているようにも見えて、悲しい話ではないのに、なぜだか切ない…。



南塚直子さんといえば、版画を見慣れていましたが、この絵本はやさしいパステル画です。
絵本は絶版のようですが、お話だけなら、偕成社の「安房直子コレクション2『見知らぬ町 ふしぎな村』」、岩崎書店のフォア文庫、並びに岩崎幼年文庫「まほうをかけられた舌」にも収録されています。


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[2009/06/19 10:57] 安房直子 | トラックバック(0) | コメント(10) | @
山のタンタラばあさん
山のタンタラばあさん山のタンタラばあさん
(2006/09)
安房 直子

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安房直子さんの本のほとんどが絶版だった頃のこと。
私は、それらの絶版本を探すと同時に、単行本未収録の作品やエッセイなどが掲載された雑誌も、並行して探していました。

「詩とメルヘン」「絵本とおはなし」「日本児童文学」「びわの実学校」「飛ぶ教室」など。
自分の足で古本屋さん巡りをするだけでは到底見つけられそうにない、こういった雑誌のバックナンバーも、ネットで探せば見つかるものです。
案の定、根気よく探しているうちに、欲しかった本のほとんどが手に入りました。

が、しかし、それでも見つからない本というのも、当然あるわけで。
チャイルド本社の童話専門誌「メルファン」は、そういう本でした。
どの古本屋さんの目録でも一度として目にしたことがなく、探しているうちに、ほんとにそんな雑誌あったの?と思えてきたくらい。
この「メルファン」1号に、安房直子さんの「山のタンタラばあさん」というお話が載っていたはずなのです。


…前置きがたいへん長くなりましたが、上記の理由で、私にとっては幻とも言えるこの作品、2006年に小学館から絵本として出版されました。

絵は、出久根育さん。
初めて見た出久根さんの絵は、東欧あたりの画家さんが描いたのかと思うような、ちょっと重い独特の画風でしたが、この絵本の絵はまたずいぶんと雰囲気が違います。
へぇ~、こんな絵も描くひとなんだ…と、びっくり。


お話のほうも、安房さんのほかの作品とは、ちょっと語り口が違うような…。
でも、

「冬のおわりにふる雪は、ふうわりして、やさしい雪だ。」
「そんな雪が、ほとほとふって、」
「つぼみの花が、ほっほとひらく。」


こんな言い回しを見ると、「あぁ、やっぱり安房さんの書かれたお話だ」と思うのです。
声に出して読んでみると、歌のようなリズムがあって、子どもに読み聞かせるのも楽しそうです。


まあるい山のてっぺんの、タラの木の下の家に住むタンタラばあさんは、魔法つかい。
東風を起こして春を呼び、しもやけになったうさぎの耳を治してやり、口笛を吹けないモミの木のためにヒバリを先生に連れてくる、そんなひとです。


いつも同じ着物に同じ帯を締めているタンタラばあさんが、スカートをはいてみたくなって、よもぎでスカートを作るシーンが素敵。
よもぎの葉っぱを針と糸でつなぎあわせたスカートは、おもては緑で、うらは白、おまけにとっても良い匂いがするそうです。

このスカートをはいて空を飛んでいたら、良い匂いにつられたカラスにつんつんつつかれたりもします。
でも、カラスの家では、熱い淹れたての紅茶に、ふっくりと黄色いカステラをご馳走になりました。


スカートはいて、カステラを食べると、かわいい女の子の気持ちになれるのかなあ


お茶を飲んでいるうちに不思議な気持ちになって、そんなことを思うタンタラばあさんです。
私も、たまにはスカートをはかないといけないような気持ちになってきました(笑)


「タンタラばあさんは魔法つかい」
「タンタラばあさん空を飛ぶ」
「タンタラばあさんカラスのうちへ」
「タンタラばあさんのしゃぼん玉」

四話とも、タンタラばあさんと山の動物たちのお話です。


ところで、本文中にはいっさい書かれていないのですが、絵を見ると、タンタラばあさんって小人さんサイズ。
タンタラばあさんの家の玄関先に立つうさぎもたぬきも、戸口より大きいんですけど…。

これは、あれでしょうか、絵本にする時にタンタラばあさんが普通の人間サイズだと、対比でうさぎやたぬきやカラスがちんまりし過ぎて目立たないからでしょうか?
それとも、書かれていないだけで、もともと小人サイズという設定だったのかなぁ…?

いえ、たとえサイズがタンタラばあさんの三倍でも、しもやけうさぎもしゃぼん玉たぬきも可愛いんですけどね。


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[2009/05/23 16:20] 安房直子 | トラックバック(0) | コメント(4) | @
遠い野ばらの村
見知らぬ町ふしぎな村 (安房直子コレクション)見知らぬ町ふしぎな村 (安房直子コレクション)
(2004/04)
安房 直子北見 葉胡

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谷間の小さな村で雑貨屋を営むおばあさんは、お店に来る人には誰彼となく、息子のことを話すのが癖でした。
遠くの村に住むという息子夫婦や孫たちのことを話す時、おばあさんの顔はとても生き生きと輝くのです。

でも、村の人たちはみんな知っていました。
おばあさんには息子なんかひとりもいないということを。
何もかも、ひとり暮らしのおばあさんの空想なのです。


何やら物悲しい始まりですが、
ある日ほんとうに、おばあさんのお店に、思い描いていた通りの孫娘が訪ねてきます。
「千枝」と名のるその子は、お父さんが作ったせっけんをお店に置いてほしいと言うのですが…。


ちょっと切なくて、でも、胸が芯からあたたかくなるお話です。


空想の中にしかいないのに、人に話しているうちに本当にいるような気がしてきて、孫娘のためにゆかたを縫い始めるおばあさんが切なくて。
そしたら本当にそんな女の子が訪ねてきて、


孫の名まえは、千枝でしたっけ……。
おばあさんは、うれしくて、ふっと涙が出そうでした。



ここのところを読むと、いつも胸がぎゅうっとなります。


20個のせっけんを置いて
「一週間たったら、また来ます」
と言って帰った千枝の次の訪れが、おばあさんには待ち遠しくてたまりません。
ゆかたを縫い上げて、おはぎを作ろうと、もち米と上等のあずきを用意して。

約束の日より一日早くやって来た千枝は、今度はふたりの弟を連れていました。


この子どもたちが、もう、ほんとに可愛いんです!

「あずきとお米が、すぐやわらかくなるように、わたしがおまじないしてあげる」

小さなばらの花びらを、あずきの桶ともち米のお釜に浮かべ、千枝が唱えた呪文は

「のんのんのん」


のんのんのん、ですよ!
なんて可愛いおまじない!!!

こうして、ひと晩水につけておかなければやわらかくならないはずのあずきも、もち米も、ふっくりとふくらんで、おはぎはその日のうちに出来上がりました。


おはぎでおなかがいっぱいになって、眠ってしまった子どもたちは、
翌朝にはいなくなっていて、もう二度と会えないのでは…とはらはらしますが、そんなことはなく(^^)


思いもよらぬかたちで、おばあさんが再会した三人の子どもたちは、絵に描いて額に入れて飾っておきたいような可愛らしさです。
(このお話を読み聞かせた後、実際うちの娘は絵に描いてました。)


おばあさんの帰り道を明るく照らすちょうちんのように、読み終えた後、自分の胸の中にもオレンジ色の灯りがほうっとともるような気がします。


私が今手にしている筑摩書房の単行本には、ほかに、
マントの裏地にする赤い生地を求めて手芸店にやって来た猫の話「ひぐれのお客」や
まじめで働き者なのに、それがちっとも報われない料理人見習いの青年が、ふしぎなひらめに出会ったことから道が開けていく「海の館のひらめ」
娘の嫁入り道具のふとんを縫ってほしいと、仕立て屋の女性を呼びとめるカエルの話「秘密の発電所」など全9話が収録されています。


筑摩書房の「遠い野ばらの村」は絶版ですが、偕成社の安房直子コレクション2に「遠い野ばらの村」「ひぐれのお客」「海の館のひらめ」「ふしぎなシャベル」「猫の結婚式」「秘密の発電所」が
6に「野の果ての国」が
7に「初雪のふる日」「エプロンをかけためんどり」が
それぞれ収められています。


何度も同じことを書いたような気がしますが、安房直子さんのお話は、どれも目の前に鮮やかな色彩が浮かんでくるようです。
挿絵は要らないんじゃないの?と思うほど。

例えば、「ひぐれのお客」の猫が語る様々な「赤」や
「秘密の発電所」の百合の花に灯るあかりや、カエルが差し出す青地に八重桜のちりめんなど。

誤解のないように付け加えますが、安房さんの作品の挿絵はどれも素敵です。
ただ、あの文章をカラーの絵にするのは、画家さんにとってかなりのプレッシャーなのでは…と、時々思うのです。


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[2009/04/29 15:22] 安房直子 | トラックバック(0) | コメント(3) | @
風のローラースケート
ものいう動物たちのすみか (安房直子コレクション)ものいう動物たちのすみか (安房直子コレクション)
(2004/03)
安房 直子

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かつて安房直子さんの絶版本は、一部の文庫本を除き、古本でもめったに出回りませんでした。
古書検索サイトやネット古書店さんなどをこまめに見てまわっても、なかなか見つからないのです。
ここ数年、嬉しいことに、安房さんの作品は続々と復刊されていますが、それまでは毎日のように絶版本をネットで探していました。


筑摩書房の「山の童話 風のローラースケート」も、そういった探求書の中の一冊で、特に思い入れのある本です。
昔、知人に借りて読んで夢中になり、自分でも持っていたいと思い書店に注文しましたら、ずっと前に絶版になっていました。


タイトルを見ただけで、胸の中が懐かしいものでいっぱいになるような。
夕暮れ時に山里の家々から立ちのぼる煙、子どもの頃よく摘んだよもぎの香り、何もかもが青く見えた満月の夜。
私にとっては、そんなものを思い出させてくれる童話集です。


峠に茶店を開いたばかりの、まだ若い茂平さん夫婦を中心に、いたち、たぬき、さる、いのしし、うさぎ、きつね、桜の精やてんぐまでが登場し、楽しくて不思議な、時にはちょっと怖いお話が八編。


・茂平さんが初めて作ったベーコンを盗って、風のローラースケートを履いて逃げるいたち。追いかけていた茂平さんは、いつの間にか海辺の町まで来ていました。(風のローラースケート)



・「ゆきのしたホテル」を営むたぬきは、茂平さんに、みそおでんの作り方を教わりにやってきます。
そのお礼にと、たぬきに招待された茂平さん一家は、あたたかな春の月夜、「ゆきのしたホテル」へ。
「ユキノシタ」という植物をご存じですか?
私の実家の庭の隅にたくさん生えていて、祖母がよく煎じ薬にしていたその葉が、このお話では天ぷらになって出てきます。(月夜のテーブルかけ)



・「つづら屋」というみやげ物屋の老夫婦のもとへ、ある晩、ちょうちんをぶら下げたさるが訪ねてきました。
手仕事の上手なさるは、アケビのつるで見事なつづらを拵えます。
名前だけだった「つづら屋」は、ほんとうに、つづらが名物のみやげ物屋に。
律儀なさると老夫婦の交流が微笑ましくて、胸があたたかくなる、私のいちばん好きなお話です。(小さなつづら)



・あかね山のいのししの集まりに招待された茂平さん。
いのししと一緒に食べるふろふき大根の湯気の中には、彼らの思い出話とともにいろんなものが見えてきます。
白い鳥やユリの花、夏の雲に白い蝶…。
ふろふき大根の湯気は、悲しいことやいやなことを忘れさせてくれるそうですよ。
あつあつのふろふき大根と、大きなお餅と、気の好い いのししの心遣いに、身も心もほっこりしそう。(ふろふき大根のゆうべ)



・「たにまのおやど」に泊まった旅人は、命からがら茂平さんの茶店に逃げ込んできました。
前の晩、おそろしい目に遭って、一睡もできなかったと言うのです。
八編の中では異色の、ちょっと怖いお話。(谷間の宿)



「さくら屋にご招待します。花ふぶきの午後、おでかけください。」

山の人間しか入れてくれない「さくら屋」に、山暮らし五年目でやっと招待状をもらった茂平さんの奥さん。
使えるお金は百円まで。全部五円玉で用意しなければなりません。
さあ、とっておきのフレアースカートをはいて、うすもも色の着物を着た桜の精たちが待つ「さくら屋」へ。
ですが、くれぐれも、長居は禁物です。(花びらづくし)



・よもぎが原によもぎを摘みに出かけたまま、帰ってこない子どもたち。
月の光が照らす中、うさぎに変えられた子どもたちを人の姿にもどそうと頑張る、母親たちのお話。

「お母さん、よもぎが原のうさぎって、すごいねえ。あんな魔法まで使うんだもの」(よもぎが原の風)



・めんこが下手なたけしは、買ったばかりのめんこを全部友だちにとられてしまいます。
とぼとぼと山道を行くたけしをかわいそうに思ったのか、てんぐは、何でも吹き飛ばす「風のめんこ」をくれました。
風のめんこを手に、今度は子ぎつねたちと勝負するたけし。
親ぎつねたちが作ったというめんこは、一枚一枚が手書きで、それは見事な出来ばえなのだそうです。
ちょっと見てみたくなりますね。
それにしても、安房直子さんの食べ物の描写は、どうしていつもこんなにリアルでおいしそうなんでしょう。
きつねの作ったてんぷらうどんの描写は、ただごとではありません。読んでるだけで唾が出そう。(てんぐのくれためんこ)



入手するのにずいぶん苦労したこの本ですが、現在は、偕成社の安房直子コレクション3「ものいう動物たちのすみか」に収録されています。
ぜひ、よもぎが原の風に吹かれる気分を味わってみてください。

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[2008/01/30 11:44] 安房直子 | トラックバック(0) | コメント(10) | @
まほうのあめだま




「さんしょっ子」に引き続き、これも安房直子さんといもとようこさんコンビの絵本です。


みほこちゃんとねこのチローはとっても仲良しで、どんな時もいつも一緒でした。
なのに、次の引っ越し先はアパートだから、ねこは飼えないとお母さんが言うのです。


チローは、ねこの好きなお菓子屋のおばあさんに引き取られることになりました。


おばあさんは優しい人で、チローのことをとっても可愛がってくれるのですが、チローはみほこちゃんに会いたくて会いたくてたまりません。
そのうちにご飯もたべられなくなって、やせてしまいました。


「チローや、みほこちゃんに ちょっと あって くるかい?」


そう言って、おばあさんがチローにくれたのは、一粒のあめだま。
おばあさんの手作りだというこのあめだまは、なめると空を飛べる、まほうのあめだまでした。


白い風船みたいに軽くなったチローは、ふうわりふうわりと、みほこちゃんのもとへ。


「みほこちゃーん、あいに きたよー」


窓から顔を出したみほこちゃんに向って、そう叫ぶチロー、ほんとうに嬉しそうです。


あまいおかゆを一緒に食べて、ひとつのおふとんでくっついて眠って。
顔を寄せ合って眠るみほこちゃんとチロー、「幸せ」を絵にしたら、きっとこんなふうになるんだと思えるくらい、優しくてあたたかな絵です。
みほこちゃんと一緒に食べたおかゆが、チローのおなかの中をぽかぽかと温めたみたいに、見るひとの心もほっこりと温めてくれるような。


現実には、引っ越しやその他の理由で、身勝手な飼い主に捨てられる犬や猫がたくさんいるけれど、このお話のみほこちゃんのお母さんは、連れて行けない代わりにちゃんと可愛がってくれる人を探してくれます。


新しい飼い主のおばあさんは、どんなに優しくされてもやっぱりみほこちゃんが恋しいというチローの気持ちをわかってくれます。


そして「まほうのあめだま」は、アパートに暮らすみほこちゃんのもとへ、好きな時に会いに行けて、またすぐに帰って来られる、まさに夢の小道具。


おとなの事情で悲しい思いをする子どもや動物に注がれる、安房さんの優しい視線が感じられる絵本です。


いもとようこさんの絵はふわふわとやわらかくて、特にチローが、ほんとに可愛いんですよ。
大きなあめだまを口に入れて、片方のほっぺをふくらませた顔とか、わた雲みたいにふわふわ空を飛んでるところとか。


「まほうのあめだま」
こんなお菓子が、ほんとにあったらいいですね。


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[2007/12/18 12:40] 安房直子 | トラックバック(0) | コメント(2) | @
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