さかなはおよぐ
さかなはおよぐ (1983年)



amazonのデータには、「ぬたはら のぶあき(著)」となっていますが、奴田原睦明さんは訳者です。

正しくは ヒルミー・トウニイ/絵 ハサン・アブダッラー/文 ぬたはら のぶあき/訳



昭和57年11月に すばる書房から刊行された、パレスチナの絵本です。

この絵本が出た時点で、作者の二人はレバノンで行方不明になっています。



本文は15ページで、巻末に7ページを割いて 評論家・村田栄一、本書の訳者でありアラブ文学者・奴田原睦明 両氏の対談が掲載されています。



ある日、先生に 魚を描くように言われたバーシム少年は、水がいっぱい入った水槽と、その底には水草と小石と砂を描き、その真ん中に魚を描きました。


その絵を見た先生は、水槽なんかなくていい、魚だけを描くようにと言います。


次にバーシムが描いたのは、空を泳ぐ魚でした。


その魚を、家の屋根を越えて、山の彼方までも飛び立たせてやろうとしました。


ところが、また先生に 泳いだり飛んだりしていない魚を描くように言われたバーシムは、今度は死んだ魚を描くのでした。


「およぎも、うごきもしない さかななんて いきている さかなじゃ ないもの」



そんなバーシムに、先生はクラスメイトの絵を指さして言います。


「ファードの かいた さかなを みてごらん!

およいでも とんでもいないけど、しんでやしないだろう?」






「パレスチナの絵本」「作者はレバノンで行方不明に」などと聞けば、予備知識のある大人は、自然にパレスチナ紛争とこの絵本を重ねて読んでしまいますし、実際作者はそういう意図で描いたのだと思いますが、白紙の状態でこの絵本に出会う子どもは、いったい何を思うのでしょうか?


対談の中で村田氏は「そういう大人と子供の二つの出会い方の違いというのは、そんなに矛盾しないと思う」と言っています。


どちらにしても「生の真実」に深く関わると。



「泳いでも飛んでもいないけど、死んでやしない」


妙に頭の隅に引っかかる言葉です。


「死んでない」けど、それは果たして「生きている」と言えるのか?



ファードの絵を見ても納得せず、「ほんとうの さかななら いきているか しんでいるか どっちかだ」と言うバーシムの言葉を、先生はしばらくのあいだ考えます。




…ところで、本書の内容からは逸れますが、いつどこで聞いたのだったか思い出せないけど、ずっと心に残っているエピソードをひとつ。


ある幼稚園で、お絵描きの時間に 青い太陽を描いた子がいました。


それを見た先生が、「あら、○○ちゃん、太陽は赤か黄色でしょ?」と言ったそうです。


その後、その子がどう答えたのか、絵は描き直したのか、それともそのままだったのかは知りません。


夕日は赤いけど、真昼の太陽は、私には赤にも黄色にも見えませんが…


というか、多少雲でもかかっていない限り直視できないので、何色かわからず空の色と区別がつかなかったとか、あるいは何らかの理由で太陽が青く見えた時があったとか。


その子なりの理由があったはずです。


長くなりましたが、何が言いたかったのかというと、要は子どもの絵に干からびた固定観念を押し付けるなと。



さて、本書の先生は、考えた末 バーシムに何と言うでしょうか?


さかなはおよぐ




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[2012/07/17 16:31] ハサン・アブダッラー | トラックバック(0) | コメント(0) | @
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