M・R・ジェイムズ怪談全集1
M・R・ジェイムズ怪談全集〈1〉 (創元推理文庫)M・R・ジェイムズ怪談全集〈1〉 (創元推理文庫)
(2001/10)
M・R・ ジェイムズ

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恥ずかしながら最近まで知らなかったが、M.R.ジェイムズは、ミステリのコナン・ドイルと並び称されるほどの、イギリス怪奇小説における巨匠だそうだ。

コナン・ドイルは中学生の頃むさぼるように読んだが、M.R.ジェイムズと聞いてもさっぱり覚えがない。

外国の怪奇小説というジャンルは、ミステリほどメジャーにはならなかったんだなーと思う。

2001年に創元推理文庫から出た この全集も、残念ながら今や絶版。

古本を探すしかない。

この第1巻には、「好古家の怪談集」「続・好古家の怪談集」から15編が収められている。

古文書学者、聖書学者であり、博物館長やケンブリッジ大学の副総長を務めたという作者が、趣味で筆を執り、クリスマスに友人や学生たちに読み聞かせたものだという。

職業柄か、登場人物もまた研究者だったり図書館員だったり、発端となる小道具が古書だったり古い銅版画だったり、はたまた遺跡で見付けた笛だったりする。

もちろんそうでないものもあるが。



サン・ベルトランの聖堂を見学に来たケンブリッジ大学の学者・デニスタウンは、堂主から 思いがけない安値で 値打ちものの「貼雑帳(はりまぜちょう)=スクラップブック」を譲り受けた。

それを売った途端に、それまでおどおどと何かに怯えるようにしていた堂主は生き返ったようになり、堂主の娘は デニスタウンの帰り際に銀の十字架と鎖を渡す。

「あなたにつけてもらいたい」と。

夜中に、ホテルの部屋でデニスタウンが「貼雑帳」を見ていると… 
                    「アルベリックの貼雑帳」




孤児となった少年スティーヴン・エリオットは、年上の従兄アブニー氏に引き取られることとなった。

そこですぐに家政婦のバンチ夫人と仲良くなったスティーヴンは、この屋敷で過去に二人の子どもが行方不明になったことを聞く。

いずれも身寄りのない外国人の子どもで、アブニー氏が引き取ったが、しばらくするとどこかへ行ってしまったのだと。 

その夜、スティーブンは奇妙な夢を見た。      「消えた心臓」




大学美術館の収集委員・ウィリアムズは、懇意にしている古物商が薦めてきた古い銅版画を買い入れる。

アマチュアの作品らしいそれは、ごくありふれた荘園邸の全景で、とても価格に見合うものとは思えなかった。

送り返してしまおうと思ったウィリアムズだったが、それを眺めていた友人の一言から異常に気付く。   「銅版画」




マシュー・フェル卿の証言により、一人の女が魔女として処刑された。

それから数週間後、窓から大きな秦皮(とねりこ)の樹が見える部屋で、卿は不審な死を遂げる。

その四十年後、掘り返された件の魔女の墓はもぬけの殻だった。
                           「秦皮の樹」




ほかに「十三号室」「マグナス伯爵」「笛吹かば現れん」「トマス僧院長の宝」「学校綺譚」「薔薇園」「聖典注解書」「人を呪わば」「バーチェスター聖堂の大助祭席」「マーチンの墓」「ハンフリーズ氏とその遺産」を収録。



…うーん。面白くないわけではないけど、日本ではマイナーなのも解る気がする。

「アルべリックの貼雑帳」や「バーチェスター聖堂の大助祭席」などは、日本人には理解し難いのではないかと思う。(もしかしたら私だけかもしれないが)

恐怖の正体、というか 大本が何なのか、非常に解りづらい。

いや、わかるといえばわかるのだけど、キリスト教や聖書に縁がない私には ピンとこない。

訳がまた格調高い名訳で、本文中で「古風な書体」と描写される文章などは 訳も文語調だったりする。

それについていくのに精一杯で、怖がるヒマがない というか、どこで怖がればいいのかわからない。


一方、「消えた心臓」や「銅版画」、「秦皮の樹」、「人を呪わば」などは分かり易かった。

「銅版画」の 見る度に変わる絵は、現代のホラーでも写真やフィルムに形を変えて繰り返し使われるモチーフだ。

思い出したのは、子どもの頃に読んだ漫画。

写真の中の少年の背後に見えている手が 日を追うごとにどんどん少年の肩に近づいてくる。

肩に手がかかったらどうなるのか。

怖い。何しろ写真の中で起きていることで、少年は逃げようがないのだ。

「銅版画」では、何かがこちらに近づいてくるわけではないが、絵の中で一つの事件が起きる。


「人を呪わば」は、錬金術師から逆恨みされ 呪いをかけられた学者・エドワード・ダニングの、日本で言うなら呪詛返しの顛末を描いたもの。

身辺では怪異が頻発し、精神的に追い詰められていたダニングが、やっと難を逃れたというのに、自分を殺そうとした男を気にして 警告のために電報を打つというのが、ものすごく人間らしくてほっとした。



「紳士と奇人の国イギリスでうまれた近代怪談の神髄!」と帯のアオリにあるように、英国紳士が語る古き良き時代の怪異譚。


イギリスの古い邸宅の 暖炉のある居間で、クリスマスの夜に これらの話を聞くことができた人々は 幸運だなぁと思う。

それを前提に書かれた物語なのだ。

聞き手は「もしかしたら先生の知り合いの実話?!」と思ったかもしれない。

何しろ自分たちの身近にある古書・古物に 思いがけない暗闇が…という話だ。

ゾクゾクしないはずがない。



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[2012/12/01 23:18] M.R.ジェイムズ | トラックバック(0) | コメント(6) | @
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