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きつねのでんわボックス
きつねの でんわボックス (新・ともだちぶんこ)きつねの でんわボックス (新・ともだちぶんこ)
(1996/10)
戸田 和代たかす かずみ

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「あのね、かあさん、まほうが つかえたのよ、ほんとよ……」





ぼうやをなくしたばかりの母ぎつねと、人間の男の子、そして、やさしい電話ボックスのお話です。
NHK教育テレビの「おはなしのくに」で聴いて泣き、本を買ってきてひとりで読んで泣き、読み聞かせの途中では号泣してしまって、一度もまともに聞かせられなかった痛恨の一冊。


こぎつねの言葉や仕草が、それはそれはかわいらしいんですよ。
そして、「ぼうやが うれしいと、かあさんは いつも うれしいの」という、親の気持ちを凝縮したような母ぎつねの言葉が、とても印象的です。


その可愛いこぎつねが死んでしまって、「なみだでからだがとけてしまいそうなほど」泣き続ける母ぎつね。
切なくて、痛ましくて、こちらまで胸の奥が冷えていくような気がします。


ある夕暮れ、ようやく、「元気をださなくちゃ……」と、力ない足取りで歩き始めたきつねは、山のふもとで電話ボックスを見つけます。
そこで電話をかけていたのは、ちいさな男の子。
男の子は、遠い町の病院に入院しているおかあさんに、毎日電話をしていたのでした。


「かあさん、あいたいな……」


死んでしまったぼうやが、自分に話しかけているようで、きつねは毎日、男の子の声を聞くために山を下りて電話ボックスに向かいます。
くる日もくる日も、草の中にすわって、男の子の声にじっと耳を傾けます。
そして、


「ええ、かあさんも、あいたいわ……」
「かあさんも、うれしいわ……」



男の子のひと言ひと言に、そんなふうに返事をしてしまうのでした。


そんなある日、きつねは、その古い電話ボックスが近いうちに撤去されることを知り、途方にくれます。
もうすぐ男の子がやってくるというのに、電話ボックスにはあかりが灯りません。


きつねは、いったいどうしたと思いますか?


たくさんのやさしいものを集めて、できたようなお話です。


長い間、人に使われてきた物には、魂が宿るといいます。
数えきれない人々の声を、思いを、運んできて、その役目を終えようとしている電話ボックスにもまた、心が宿ったのかもしれません。


児童書ですが、挿絵が豊富で字も大きく、漢字にはルビがふられていますので、ひらがなの読めるお子さんならひとりで読めると思います。
↓こちらは後で出た絵本版ですが、絵本向けに表現を変えてある箇所もあるそうなので、どちらを選ぶかはお好みで。

きつねのでんわボックスきつねのでんわボックス
(2006/07)
戸田 和代たかす かずみ

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テーマ:児童書 - ジャンル:本・雑誌

[2008/01/17 13:18] 戸田和代 | トラックバック(0) | コメント(6) | @
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