Under the Rose(アンダーザローズ)7 ― 春の賛歌
Under the Rose 7 春の賛歌 (バーズコミックス デラックス)Under the Rose 7 春の賛歌 (バーズコミックス デラックス)
(2011/09/26)
船戸 明里

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「Under the Rose 」略して「あんだろ」

6巻発売から2年4ヶ月ぶりの7巻。

6巻までは1年に1冊ペースだったので、去年は「今月こそ出るか?!」と、そわそわしながら待っていたのだけど。

なんかもう待ちくたびれた…

とはいえ、読み始めればやはり最後までぐいぐい引っ張られる。

そして、読み終えた途端「続きは来年か再来年か…」と、また蛇の生殺し状態に。

6巻の感想はこちらから→アンダーザローズ6-春の賛歌



前巻で、正妻アンナに「もう貴女を愛していない」と告げたロウランド伯爵。

それでも表向きは、今までと変わりない日常が続くかに見えた。

ところが、アンナの言葉に従うことを決めたマーガレットが、伯爵には何も告げず 二人の子どもを連れて突然姿を消したため、伯爵もまたその後を追って失踪。

そのことを知るのはアンナとウィリアムのほか、一部の使用人のみ。


伯爵の失踪後、アンナが家政に口を出し始めたことから、ロウランド伯爵家の空気は一変する。

使用人のほんのささいな失態を見咎めては解雇し、それによって使用人が激減したことから、残った使用人の仕事が膨れ上がり、耐えかねて辞めてゆく使用人が増えるという悪循環。

家政に疎いアンナは、新しく使用人を雇うためには今より賃金を上げなければ誰も来てくれないなどとは 思いも及ばないのだった。


伯爵はもう帰ってこない。

口には出さずとも、ウィリアム そして上級使用人の誰もが、なんとなくそう思い始めていた。

そんな中、家庭教師のレイチェルだけは、伯爵が子どもたちを見捨てるはずがないと信じ、「絶対にクリスマスにはお戻りになります」と主張する。


それまでは何としても今のままのロウランドを維持しなければならない。

そして、子どもたちには、スタンリー母子と伯爵の失踪を知られてはいけない。


子どもたちとロウランドを守るため、レイチェルの奮闘は続く。





伯爵不在のロウランドの人々の困惑と焦燥。

そして、伯爵とスタンリー母子の逃避行が描かれる。


アーサー・ロウランド伯爵は、その人柄から使用人にもフレンドリーで、そのせいか子どもたちと使用人の垣根も低い。

それがアンナの目から見ると「ロウランドの使用人は教育不足」ということになるのだった。


「こんな調子ではロウランドから使用人がいなくなってしまいます」という本当のことを、誰もアンナに向かって言わないところにリアリティーを感じる。

レイチェルにしても、明らかにアンナの判断ミスなのに「奥様に恥をかかせる訳にはいかない」と、自分ひとりでなんとかしようとする。

そのせいで風邪をひいて四日も寝込んだのに、何も知らないアンナに「四日間も子供達を放置してよくも平気でいられますね」などと理不尽に責められても「お前のせいだろ」とは決して言わない。


19世紀後期の英国、貴族の屋敷では 主人と使用人の関係って ほんとにこんな感じだったんだろうなぁと思う。

だからこそ、ロウランド伯爵の人柄が際立って、彼は特別なんだと読者に印象付ける。


今回は使用人たちが良い味を出していた。私は特にウェルズさんがお気に入り。


なるべく早く続きが読みたいが、アシスタントさん無しで調べものをしながらでは、そんなにさくさく進まないらしい。



「あんだろ」の前に発表された「Honey Rose」(略して「はにろ」)という作品があって、これは「あんだろ」の十数年後のお話。

単行本は出ていなくて、今のところはダウンロード販売のみ。

ただし、「あんだろ」完結後に、「あんだろ」の続刊に 加筆修正の上「Honey Roseの章」として収録されるという。

それまで待つつもりだったけど、いつ完結するのか 考えると気が遠くなりそうだったので、WEBコミックというものを初めて買ってみた。

これは、ロウランド家の庶子の末っ子フィオナを主人公にして描かれたもの。(なんと、また庶子が増えてました)


大人になったロウランド家の子どもたちを見て、久しぶりに会った親戚のおばちゃんのごとく、「まあっ、大きくなって~」とか「なんでこうなった?!」とか突っ込みつつ、フィオナと一緒に一喜一憂しながら読み終えた。

とりあえず、いちばんびっくりしたのは、あの つんつんつんつんとんがりまくってたライナスが、人当たりの良い温厚な好青年に成長してたこと。


「はにろ」を読んだら、ますます そこに至るまでの「あんだろ」の展開が気になってしかたないのであった(笑)

あ、ちなみにタイトルの「Under the Rose」(=秘密に)は、作者によると「フィオナには内緒」って意味らしい。
長兄のアルが検閲済みの事柄しか、フィオナには知らされないんだとか。

…まあ、赤ちゃん同様の14歳には話せないことが多過ぎるわなぁ。


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[2011/10/14 17:21] 船戸明里 | トラックバック(0) | コメント(0) | @
Under the Rose(アンダーザローズ)6 ― 春の賛歌
Under the Rose 6―春の賛歌 (バーズコミックスデラックス)Under the Rose 6―春の賛歌 (バーズコミックスデラックス)
(2009/05/23)
船戸 明里

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船戸明里さんの「アンダーザローズ」最新刊です。
「蟲師」もそうでしたが、この漫画も、単行本が出るのは1年に1冊というペース。
続きが待ち遠し過ぎる…。


under the rose(薔薇の下で)が「秘密に」という意味だと知ったのは、昔読んだ漫画がきっかけでしたが、この作品もまた、タイトル通り。
あれっ?と思うような意味ありげなエピソードがあちこちに散らばっているので、はやく真相が知りたくてうずうずします。


19世紀後期の英国、ロウランド伯爵家の物語。
医師でもあるアーサー・ロウランド伯爵には、正妻アンナとの間に4人、侯爵令嬢 故グレース・キングとの間に2人、医師としての弟子マーガレット・スタンリーとの間に2人の子どもがいます。
嫡子4人に庶子4人、それが全て男子という驚くべき男系家族。


ちなみに、ロウランド伯爵というひとは、上記のような設定から想像する男性像とは著しくかけ離れています。
情に厚くて、涙もろく、嫡子庶子関係なく子どもたちを分け隔てなく愛する良き父親であり、時には少年のような一面を見せる、そんなひとです。
そして、そんな子どもたちの中の一人が自分の子どもではないと知っても、態度を変えることはありません。

この第6巻で、マーガレットが、愛人と私生児の自分達親子が差別を受けることなく暮らせた要因として
「私達は貴方の人徳に守られてきたの」
と言いますが、まさにそういう人徳を具えたひとです。

そんな彼に愛人がいるというのがそもそも不自然なのですが、そのあたりの事情は読み進むうちに徐々に明らかになってきます。



第1巻と2巻にまたがる「冬の物語」は、母方の実家であるキング侯爵家から父方のロウランド伯爵家に引き取られることになった、グレースの息子ライナスとロレンスの物語。
母グレースの自殺の真相を探ろうとするライナスの視点で描かれています。



第2巻からこの6巻まで続いている「春の賛歌」は、ロウランド家の家庭教師レイチェル・ブレナンの視点で。
ミス・ブレナンは、容姿の美しさがちっともプラスに働かず、寧ろそれが仇になっている感あり。
知識と教養は申し分なく、教師としての使命感に燃え、子どもたちへの慈愛は溢れんばかりの良い先生なのですが…。



ガヴァネスと呼ばれる家庭教師の女性たちの社会的地位がこれほどまでに低いとは、この作品を読むまで知りませんでした。
教師というより、子守?
繕いものや、子どもたちの服の仕立てまでするんですよ。

ただしロウランド家では、伯爵の方針で「家庭教師は貴婦人として扱う」ことになっているので、ミス・ブレナンの待遇は一般的なガヴァネスより遥かに上です。
その分、ロウランドの家庭教師は高度で広範囲な知識を要求されるわけですが。



「春の賛歌」という優しげなタイトルにそぐわない、ひたすらミス・ブレナンの受難物語かと思ってましたが、5巻あたりからちょっと違う兆しが見えてきました。



…それにしても、この漫画、昔の英国文学が原作なんじゃないかと思うくらい、リアリティーがあります。
伯爵の子どもたちがみんな個性的で、それぞれに魅力的。
絵が綺麗で、ストーリーも凝っていて、読み応えがあります。
重い内容ですが、子どもたちの可愛さにほっと和んだり、巻末のおまけ漫画に爆笑したりも(^^)


6巻を読み終えたら、また1巻から読み返したくなってきました。



以下、6巻読了後のひとりごとです。
↓読んだ人にしかわからない、ネタバレありのつぶやきなので、たたみます。
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[2009/06/04 16:16] 船戸明里 | トラックバック(0) | コメント(8) | @
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