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さよなら わたしのおにいちゃん
さよならわたしのおにいちゃん (1982年) (あかね世界の児童文学)


先日記事にした「ふたりのひみつ」の続編。
以前の記事はこちらから→「ふたりのひみつ」


インゲの双子の姉エリカが死んで六週間。
今でも悲しいには違いないけれど、「わたしにのこされたのは、あなただけ」と、ことあるごとにインゲをひしっと抱き締めるお母さんに、インゲがそろそろ辟易し始めた頃。


お母さんには悲しみを分かち合える大人たちが周りに何人もいるのに、私にはひとりもいない!とインゲが不満に思っていた矢先、空き家だったお隣に引っ越してきたのが、美術学校に通う二十歳の青年ディーターでした。


インゲの初恋と、美しい母親への嫉妬(!)


この作者は、つくづく、子どもの目線で物事を書くのが上手い人だなぁと思います。

そうそう、女の子っていうのは、ほんのちいさいうちから「女」でした。


初めて出会った時、ディーターの気を惹くために「わたしのおねえさん、死んじゃったの。」と言ってみたら、ほんとうに自分がかわいそうに思えてきて涙ぐんだりとか。

ダシに使われたエリカには気の毒だけど、効果は覿面。


「いいことがある。きょうから、きみには、にいさんができたんだ。
どう思う、インゲ?いもうとのインゲ?」



優しいディーターはすぐにそう言ってくれましたし、実際その後は度々、インゲの喜びそうな贈りものや手紙を、インゲのひみつの場所に置いていってくれるのです。

わざとなのか天然なのか、それとも欧米の男性はこれが普通なのか、ディーターは女の子の虚栄心を満たすのが上手くて、インゲでなくても夢中になりそうな好青年。

もしもエリカが生きていたら、マグダなんかそっちのけで、ふたりしてディーターを取り合ったに違いない(笑)


初めて会った時には、髪にヒナギクの花を挿したインゲを「おひめさま」と呼び、一緒に散歩に行けばインゲの渡れない小川はインゲを抱き上げて向こう岸まで飛んでくれるし、お茶の時間には手品を見せてくれる。

「ほかにももっと、手品を知っているの?」

「はちきれるくらいいっぱいね。いくらでも知っている。
ぜんぶ、きみに見せるためのものだよ。」



そりゃあ好きになるよねぇ…

なのにディーターは、どうやらお母さんのことが好きらしい。



今まで「母親」という生きものだと思っていたお母さんが、「女」だということを本能的に察知した途端、嫌悪感が湧き上がり、反発を覚えて、時には意地悪してしまうというのは、同性として理解できるものの、このお話のインゲにはなぜかイラッとします。

お母さんよりも、わずか9歳のインゲのほうに、「女」の、ドロドロとした嫌な部分が見えてしまって。


恋敵としては、もしエリカが生きていたとしても、 同い年で同じ顔のエリカより、知識も教養もある美人のお母さんのほうが余程手強かったと思われます。
ディーターとお母さんが英語で詩について話し始めたりすると(このお話の舞台はドイツ)、インゲにはもう手も足も出ません。(もちろんお母さんには、インゲと張り合ってるつもりなんてこれっぽっちもないのですが…)



仕事が忙しいお父さんに代わって、ディーターが夏の旅行に付き添ってくれることになり、大喜びだったインゲですが、とんでもない失敗をしてしまい悲しい結果に。


「こんなにディーターのことを愛しているのに、ディーターにとっては、わたしよりおかあさんのほうが、大切なのよ。」


9歳の女の子の台詞とは思えないけれど、言ってる本人は大真面目ですから。


どっちも大切だと思うけど、おそらく「大切」の種類が違う。
それはお母さんにとっても同じこと。


「わたしにとっては、あなたがいちばん大切なの。」


いつか、おとなになった時、この言葉がほんとうだとインゲにも解るはず。

…とりあえず、私は、子どもより大切なものは思いつきません。



「ふたりのひみつ」と同様、この本の挿絵も作者自身の手によるものです。
絶版ですが、「ふたりのひみつ」ほど稀少でもないのか、古書検索サイトなどでは時々お手頃価格で見かけます。


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[2010/06/11 18:13] イルズ・マーグレット・ボーゲル | トラックバック(0) | コメント(2) | @
ふたりのひみつ
ふたりのひみつ (1977年) (あかね世界の児童文学)



エリカとインゲは双子の姉妹。

30分早く生まれてきただけなのに、しょっちゅうお姉さん風を吹かせて あれこれ命令するエリカに、インゲは不満を募らせ、時にはそれが爆発してしまいます。


「エリカ、あんたなんか、死んじゃえばいいのに!」


インゲがそう言った数週間後、9歳の誕生日を迎えて間もなく、エリカはほんとうに 急な病で死んでしまうのでした。



…双子って、不思議ですよねぇ。

一卵性双生児は、受精卵が何かの拍子にふたつに分かれなければ、ひとりの人間として生まれてきたはず。

なのに双子で生まれたふたりは、姿かたちは瓜二つでも それぞれ別の人格と魂を持った人間で…


子どもの頃、双子を題材にした漫画や小説を読むたび、ちょっと羨ましく思っていました。

自分と全く同じ顔の子が、いつもすぐそばにいるのってどんな気持ちだろう?とか、
同い年の子がひとつ屋根の下にいるなんて、友だちと一緒に暮らしてるみたいで楽しそうだなぁとか、
たまに相手と入れ替わったりして、家族や友だちをだますのはスリルがあって面白そう、とか。


このお話の語り手はインゲで、双子ならではの悩みや苛立ち、そして喜びが、インゲの眼を通して細やかに語られます。

子どもの目線で見たもの、感じたことをそのまま写し取ったような描写にドキリとしつつ、
そういえば、子どもが面白がる児童書はたくさんあっても、ここまでリアルに子どもの感覚を捉えたものって あんまり無いような…と、ふと思いました。

主人公が、対象としている読者の年齢層と同じ年頃であっても、その思考回路や行動パターンは現実の子どもよりずっと大人びていて、だからこそ子どもは主人公に憧れるし、面白いと思うのかもしれません。
そう思ってみると、等身大の子どもを主人公にしたお話は、そこに余程の冒険やドラマがあって、その過程で主人公が人間的に成長していくものでないと、子どもには受け入れられないのかなぁと思います。


でも、このお話、もしも子どもの頃に読んで その時はなんとも思わなくても、ずっと頭の片隅に引っかかっていて 何年も経って不意に思い出して じわじわくる類のものではないかと。


インゲの心の揺れが非常に繊細に描かれているのはもちろんですが、何がすごいって マグダという女の子。

エリカもインゲも、隣の家に住むひとつ年上のマグダが大好きで、どちらがマグダの「いちばんのなかよし」かということで争ったりするのですが、この本を読んだ子どものほとんどは「なんでこんな嫌なヤツと?!」と腹立たしく思うのではないかと思います。


おとなの私が読むとどうかと言えば、マグダに悪気がないことは解るのですが、子どもだからこその残酷さや狡さがマグダを通してリアルに見えてくるので、いっそ忘れてしまいたいと思っていた子どもの頃の苦い思い出が鮮明に蘇ってきて、いたたまれないというか、なんか複雑な気持ちに…。

…いたよなぁ。マグダみたいな子。


子どもは誰しも、時には(あるいはいつも)「マグダ」だったり、「インゲ」だったり「エリカ」だったりするものですが、残念なことに、自分が「インゲ」だったことは覚えていても「マグダ」だったことは忘れてしまうもの。
なぜって、その時のマグダには悪気がないのと、たとえ後でうしろめたい気持ちになっても 頭の中で屁理屈をこね回して自分のしたことを正当化して自分自身まで騙してしまうので。



きょうだいがいるのって、ほんとうにすてきです。
とくに、チョウチョウをいっしょにながめられる、
小川が流れていくのや、リスがはねまわるのをいっしょにながめられる、
小鳥や草や野の花をいっしょにながめられる、
ふたごのきょうだいがいるのって。
ふたりいっしょだと思えるのって、ほんとうにしあわせでした。



マグダが思いやりのない言葉を残して帰って行った後、インゲは(そして多分エリカも)ようやくそのことを実感したのでした。



訳者あとがきによると、 作者のボーゲルさんにも双子のきょうだいがいたそうです。
その子がその後どうなったのかはどこにも書かれていないらしいのですが、このお話は全くのフィクションではなく、作者の経験が多分に含まれているのではないかと思われます。



エリカが死んだと聞かされた直後は 冷たく思えるほど落ち着いていたインゲが 徐々に混乱をきたしていく様子が淡々と描写され、それが真に迫っているので、作者がかつての自分をなぞって書いたのではないかと思えてなりません。



あなた、だれなの?
わたしはわたしにむかって、きいてみました。
エリカ?それとも、インゲ?
わたしにはこたえられませんでした。
インゲ?それとも、エリカ?
もういちど、きいてみました。
すると、こたえのかわりに、涙があふれ出てきました。




作者自身の手による挿絵も、お話と同じように とても繊細で静謐。

秀作ですが、残念ながら絶版です。

もしも図書館などで見かけることがあれば、ぜひ手に取ってみてください。


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[2010/05/20 16:21] イルズ・マーグレット・ボーゲル | トラックバック(0) | コメント(4) | @
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