記憶の技法
記憶の技法 (フラワーコミックス)記憶の技法 (フラワーコミックス)
(2002/10)
吉野 朔実

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買ってから10年も積ん読だったのを発掘。
先日やっと読んだ。


記憶喪失癖(?)のある高校二年生・鹿角華蓮(かづの かれん)は、パスポート取得のために取り寄せた戸籍抄本に 友人たちのものにはない記述を見つける。

民法八百十七条の二――

それは華蓮が養女であることを示すものだった。

そして、両親に内緒で取り直した謄本には、4歳で亡くなった 華蓮より二ヶ月「年下の」姉の名前が。


両親には修学旅行に行くふりをし、先生や友人たちには祖母の見舞いに行くふりをして、華蓮は子どもの頃に住んでいた九州へと向かう。

自分はいったい誰なのか?

実の両親はどこにいるのか?

どうして自分を手放したのか?


そして、当時5歳だったはずの自分は どうして何も覚えていないのか?


まずは市役所に始まり、実の両親の家の跡地、当時の鹿角家周辺…

物好きなのか意外とお人好しなのか、縁あって同行することになった同級生の穂刈怜(ほがり さとい)と共に 華蓮は当時住んでいた街を巡る。




※ちょっとネタバレしてます。












テーマ自体は特に目新しいものではないと思うが、吉野朔実の手にかかると、綺麗で 奇妙で 怖くて 優しい 吉野ワールドが出来上がる。

繊細で、綺麗というか、かわいらしい絵柄なのに、内容は容赦なく怖い。

直接的にグロい描写があるわけではなく、読者にそれを想像させる。


誰もいないはずの部屋。ソファーの向こうで点いているテレビ。それを観ている誰か。

なんでもないシーンなのに、なぜか怖い。首の後ろがザワザワする。

後に同じシーンがフラッシュバックすることで、やはりこれが恐怖の記憶に繋がるのだと確信する。


が、私がいちばんぞっとしたのは、家族全員が同じ日に死亡している戸籍である。

同じ日の、それぞれ違う時刻。

最初は得体の知れない恐怖だったのが、後にその理由がわかると、もう…


例えば、同じ場所で事故に遭い、搬送先の病院で亡くなったのなら、死亡時刻がバラバラなのも その時刻が正確に記録に残っているのも解る。

でも、この場合は違う。

知る人は、誰もいないはずなのだ。



もう 思い出してもいい…


華蓮の無意識が そう判断を下した時、歪められ 封印されていた記憶が解け始める。



わたしは 帰るためにきたの 家に

お父さんと お母さんのところに 帰るために

自分を 産んだ人達のことを 調べにきたの




でも、もしも 怜 という少年が同行してくれなかったら、華蓮は何も思い出せなかったのではないかと思う。

市役所で当時の家族の除籍謄本を取って、近所の人たちに話を聞いて、何があったのかを調べることくらいは出来たかもしれない。

でも、多分それだけだ。

大雨の中の、ロマンチックでもなんでもない、子どものような華蓮の独り言「声がききたかった」が、微笑ましい。

怜の存在は、いつの間にか精神的な緩衝材になっていた。


早熟で、頭が良く 機転も利く。

友だちと言えるほど親しいわけではなく、たまたま 華蓮が 自分が養女だと知る場面に立ち会っただけ。

下手な同情も感傷もなく、ただ華蓮に頼まれたことだけに手を貸した。

その彼が 華蓮の旅に自ら進んで同行した理由を、華蓮が悟るラストシーン。


いつか 彼にも 帰る場所ができますように。



10年もほっといたのが申し訳なくなる秀作だった。

今頃読むなら文庫版が出るまで待てばよかった…

↓こちらの文庫版には表題作他、計7編が収録されている。

記憶の技法 (小学館文庫 (よE-19))記憶の技法 (小学館文庫 (よE-19))
(2006/08)
吉野 朔実

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[2012/05/18 16:23] 吉野朔実 | トラックバック(0) | コメント(0) | @
いたいけな瞳 8
いたいけな瞳 8 (ぶーけコミックスワイド版)いたいけな瞳 8 (ぶーけコミックスワイド版)
(1993/08)
吉野 朔実

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どの巻にどのタイトルが収録されているかなど、自分のための覚え書き。

最終巻がまだだった!



・第28話 「極めて個人的な病気(やまい)」

想う気持ちに
紆余曲折を強いる
社会的自己の抵抗が
あってこそ

はじめて恋は病気(やまい)となるのだ





不動産屋で知り合った3人の大学生 桃太郎、美人(よしと)、千茱萸(ちぐみ)。

学生向けのワンルームを探していたが、めぼしい物件に空きはなく、やむを得ず3LDKを3人でシェアすることに。


切羽詰まっていたとはいえ、他人が聞いたら非常識極まりない、互いに見ず知らずの 男2人に女1人の共同生活が始まる。

が、これが意外にうまくいって、食事の支度は当番制、修学旅行の夜がずーっと続いているような和やかな日々。

それが いきなり、タバスコぶっかけたような展開に見舞われる。

向かいの部屋の のぞき魔やら、千茱萸の変わった趣味、勘違いした美人の思わぬリアクション、桃のカミングアウト発言。


桃と千茱萸が「一生言わない」と決めたことで、今まで通りの日々がこの先も続く。

切ないけど、きっと彼らにはこれがベスト。



まこと 理想は限りなく遠く

青春は 限りなく病気に近い





・第29話 「死は確かなもの 生は不確かなもの」

ある朝 氷を抱いている夢を見た

あんまり冷たくて 手がしびれて

目を覚ますと 妻が隣で死んでいた




その妻が腐らないように、真冬に冷房を入れて、凍傷になりそうな生活を淡々と続ける男 松島。


…この人の描く漫画は、やっぱり怖い。

「小さいめぐみちゃん」って何者?

松島の死んだ妻と同じ名前で、姿形も似ている。

最初はごく普通の小学生に見えたのに、意味深な言動と、極めつけはラストシーンの あれ。

この子を「怖い」と思うのは、得体の知れない不気味さから。

いや、不気味に見えるのは、読者が松島の立場で見るからか。

そもそも作者が、松島の目に映る彼女を描いているからか。

あるいは、松島にしか見えないモノなのかも…


それ以外の「怖い」は、たぶん 自分のすぐ傍にあるかもしれない狂気だから。

「いつ行っても お留守なの」と言われて「いるよ 行ってごらん」と即座に返す。

そこに、疚しさは微塵も見られない。それが怖い。外見はすごくまともそうなんだもの~。


いろんな意味で 怖くて、不思議で、後味の悪い話。





・第30話 「薄紅」

小学校から大学までエスカレーター式の女の園、清憬女子学院 高等科の卒業式の日のお話。

松井可菜子、三輪聖良、ともに二年生。


聖良の ほつれたスカートの裾を縫うため、卒業式をさぼって 裁縫道具を借りに行った保健室で、可菜子が見つけたものは 物理の教師 佐藤の定期入れ。

そこに挟まっていた写真をめぐる一連の出来事。

半分に切られた写真。捨てられたのは、果たしてどちらだったのか。


昔のコバルト文庫にありそうな、宝塚っぽい女子高の雰囲気が いかにも!という感じで良い。


同じ学年だったら、もしも何かがほんの少し違っていたら、友だちになれたかもしれない。そういうのって、覚えがあるなぁ。


今年の卒業生のスカーフの色は、桜と同じ 薄紅色。

可菜子と聖良のスカーフは浅葱。

そして、緋、杏、藤、萌葱。

学年ごとに変わるスカーフの 色の名前にも情緒があって、古き良きお嬢様学校の匂いがぷんぷんする。


前の話の後だから余計、ほろ苦いけどアクのない 爽やかな結末だった。




・最終話 「潤む炎」

現国の教師 善知鳥妙子(うとう たえこ)。

成績優秀な二人の学生 狩座(かりくら)と笹子(ささご)。


なぜか悪い噂が絶えない善知鳥先生だが、その実像は 噂とはかけ離れている(ただ一つを除いては)。

真面目で控えめで優しげで、幸薄そうな美人。


虐待の記憶と 火事で焼けた家。


全てを知っていた彼は 思う。


あなたは 誰よりも 愛されなければ



もの悲しくも美しいラストシーンが シリーズ最終話にふさわしい。



吉野朔実さんという人は、心理学でもやってるのかってくらい、全31話 一筋縄ではいかないようなお話ばかりだった。

これだけ毛色の違う話を次々と…すごい!



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[2011/05/02 17:50] 吉野朔実 | トラックバック(0) | コメント(0) | @
いたいけな瞳 7
いたいけな瞳 7 (ぶーけコミックスワイド版)いたいけな瞳 7 (ぶーけコミックスワイド版)
(1993/04)
吉野 朔実

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・第25話 「ピクニック」

2巻第5話に出てきたテロリスト、4巻第15話の白玉さん、そしてなんと、1巻第3話で名前だけ出てきた渡辺月彦くんが登場。


夜の公園。
ベンチに座り、横にテレビとお弁当を置いて、コーヒー片手に本を読む少年 渡辺月彦。
夜だというのにつばの広い帽子を被り、怪しいことこの上ないが、理由は後に判明する。


5話の事件直後らしく、怪我をして倒れていたテロリストを偶然見つけて、拾って帰った月彦くん。
当然、怪我人の正体がテロリストだなんて知るよしもない。

その様子を見ていて、二人のあとを追って渡辺家を訪ねてきた女性 点子。
彼女はテロリストに用があるらしい。


結婚式場をひとつ ふきとばしてほしいのよ
あんたなら簡単でしょう
あんた達なら!!



即答で断られ、泣いて怒鳴って大騒ぎした挙句、睡眠不足が祟って眠ってしまう。



第3話で、セイジが「渡辺月彦は出席簿のいちばん最後に名前があったのに、一度も登校しなかった」と言っていたが、それも、冒頭の夜のピクニックと同じ理由。


点子が眠った後、3人分のお茶を用意しながら幸せそうに笑う月彦くんが なんともいじらしい。

3人分の湯気で、この子はこんなにも幸せになれるというのが。


もしも ぼくが その男の人を 殺したら
そうしたら一生 ぼくのそばに いてくれる?



なんと月彦くん、自分がテロリストの代わりをやろうと申し出る。

ヤケになった点子が「いいわよ 殺ってもらおうじゃないの」 と言い出して、翌朝ふたりは式場に向かうが…


なかなか痛快な結末だった。


ちなみに、白玉さんは例によって渡辺家の通いの家政婦さん。
怖いもの知らずの(はずの)独眼竜は、傷だらけのテロリストやら下着泥棒には悲鳴をあげていた。
やはりゴキブリを叩き殺すようにはいかないらしい(笑)

下着泥棒。まさかあの彼がここで再登場するとは。


同じものでも、立場が変わると全然別のものに見えるのは当然なんだけど、夜の火事についての月彦くんの独白にはハッとさせられる。



・第26話 「レンタル家族」

念入りなリハーサルを重ねて万全の状態で貸し出される「レンタル家族」。

夫役はレンタル家族を派遣する会社の社員。
妻役は売れない女優。
二人の子どものうち、兄は一般人、妹は劇団員。


派遣された先は立派な日本家屋。

品の良い老夫婦がにこやかに4人を出迎える。


実はこの老夫婦、既に遺書を用意していて、遺体を発見してくれる人欲しさにレンタル家族を依頼したのだった。


4人はもちろん、そんなこととは露知らず、全力で家族を演じ続ける。


相手によかれと思ってやることと
相手がしてほしいと思っていることが
一致することはまれなんだ
みんな あまり 気づいてないけどね



まさにこの場合がそうだったわけだけども。

レンタル家族の4人は、自分たちが心中を阻止したことなど知らないまま、とんでもない失敗をしたと思いつつ帰っていくのだった(笑)


最後の老婦人の一言で、もう死ぬつもりなんかなくなったことがわかってホッとする。

にしても、心中に斧って…

遺体を発見したのが子どもだったら、いや、大人でも、トラウマになってたと思うな。

二人がなんで死のうと思ったのかは最後までわからないままだった。



・第27話 「夢の格子」

5巻第20話 の主人公、耀(かがり)が高校生の時のお話。

父の海外出張に母もついて行くことになり、その間 耀は孝助叔父の経営する結核療養所から学校に通うことになる。


療養所なんて きっと 怖い夢見るに決まってる!!


「他人の夢を見てしまう癖がある」という耀は、案の定、病室のひとつを宛がわれ、そこで寝起きするうちに変な夢ばかり見るようになる。
しかもそれがどんどん悪化して、眠っているのか起きているのかすらわからないほどに。


この頃、耀はまだ、トラウマ知らずの最強の友だち 神宮くんとは出会っていないらしく、いろいろと辛そうである。

自分の夢か他人の夢か区別がつかなくて、うっかりその内容を友だちに話そうものなら、途端に気味悪がられたり。


このお話、読者も、どこまでが夢でどこからが現実なのか混乱して、頭がグルグルしてくる(笑)

途中で「あれ?」と引っかかる箇所はあるものの、耀の視点で話が進むせいですっかり騙されていた読者は、結末で「えーっ!!!」となる。



いい事は あんまりないけど
悪い事ばかりって 訳でもない



そう、数年後には素敵な出会いが待っている。


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[2010/10/01 17:50] 吉野朔実 | トラックバック(0) | コメント(0) | @
いたいけな瞳 6
いたいけな瞳 6 (ぶーけコミックスワイド版)いたいけな瞳 6 (ぶーけコミックスワイド版)
(1993/02)
吉野 朔実

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・第21話 「嘘をつかずに男を騙す方法について」

5巻の第17話「いつも心にスキップを」に登場したスキップが主役のお話。

同じく5巻の第19話「犬」に登場した伊吹さんも。

スキップは大学の事務員。

伊吹さんはその大学の助教授。


5巻の「5人の男と同時に付き合ってる」という話は、冗談だと思ったらホントだった。

バースデープレゼントに、5人の男から同じ指輪を買ってもらい、そのうち4つは質草に。

質屋の主人が、5つのうちのひとつは偽物だというので、その偽物を指にはめてデートに向かう。


スキップも変わってるけど、伊吹先生もかなり変…。

伊吹先生は5人のうちの1人で、彼だけはスキップが複数の男と付き合ってることを承知している。
その上で、リクエスト通りの指輪をプレゼントして、5つのうちの1つが偽物だったと聞けば、おもしろがって「偽物を贈ったのは誰か?」なんて考え始める。


…なんというか、今更だけど、吉野朔実さんの漫画は難しい。

キャラクターが、個性的というにはあまりにもぶっ飛んでて、凡人には理解し難いというか。

並みの女なら真っ青になるような、それも自業自得の修羅場で、スキップは心の底から嬉しそうに微笑ってみせる。


彼は(中略) 浮気したらやっぱり私を殺すと思うの
相手じゃなく 私だけを
まっすぐに 殺しに来るわ
だから 約束したの
もう 他の誰からも 指輪もらったりしないって



そんなふうに、嬉しそうに話す。
どれが偽物でもよかったのだと言う。


全体を通してスキップの瞳が印象的だった。
他のキャラと違って、スキップの瞳だけはスクリーントーンが使われている。
色素の薄い、ガラス玉を思わせるような、それでいて生き生きとした、人を惹きつけてやまない瞳である。



・第22話 「花の眠る庭」

母が亡くなって一年。
貴洋(たかひろ)の家に、引き取られてきた 母のいちばん末の妹、綺蓉(きよう)。

叔母といっても、貴洋とは5つ、兄の尊樹(ひろき)とは2つしか違わない 17歳の高校生。

母 志麻路(しおじ)だけをモデルに描き続けた画家である父は、母の妹たちの中で母にいちばんよく似た綺蓉を モデルにと望んだのだった。


ある日突然、綺麗な姉が出来たようなもので、貴洋は綺蓉を慕うが、尊樹は反発する。

子どものような父と、暴君のような兄。

水飛沫が綺麗過ぎて泣いてしまうような 繊細で感性豊かな貴洋は、兄には理解されず、また理解されたいとも思っていない。

父は、「志麻路の妹」にしか興味がない。

綺蓉だけが、貴洋の気持ちに寄り添うように「貴洋が好きよ」と言ってくれる。


僕なら 死んだりしないのにな
誰にも 許されなくたって 平気なのに



泣き虫だった貴洋は、いつしか泣かなくなり、自分が恋をしていたことに気付いてはじめて、二度と戻らぬ人のために涙する。


…綺蓉は優しくて品のある美人なのに、儚げというには背負った影が重過ぎて、どうにも幸せになれそうな気がしない。

影というより、業か?

あの、行き止まりのような、何かが澱んでしまった家で、彼女は一生を終えるのだろうか?

救いがないとは言わないが、誰も幸せではない。

なのに、詩情あふれる美しい作品にしてしまう吉野マジック。




・第23話 「ライオンタンポポ」

「ECCENTRICS」に登場した天と劫かと思ったが、彼らそのものではなく、彼らの原型なのかもしれない。

名前が出てこないので、その辺りははっきりしないが、こちらの二人も自我の境界がない特殊な双子である。

「ECCENTRICS」で、天が記憶喪失の千寿を拾って帰ったように、こちらでも片方が咲衣子(さいこ)という女の子を拾って帰る。

ただし咲衣子は記憶喪失ではなく、ゴミ捨て場でビニールシートを被って、雨に打たれながらうずくまって寝ていたのだった。

千寿と同じように、咲衣子にも二人の見分けがつかず、同じような事態に陥る。


「混乱を愛してくれる女はめったにいない」


覚えのある台詞も出てくるし、「ECCENTRICS」という作品自体、この短編をベースに描かれたのではないかと思う。

「ECCENTRICS」は、双子だけでなく他の要素も複雑に絡み合って、更に難しい話になっているけれども。


私はまるで 合せ鏡の間に 立っているよう


このお話は、双子が 咲衣子も読者も混乱させたまま終わるが、双子の問題に決着を付けようとすると「ECCENTRICS」みたいな話になるのか。

互いの自我の境界がないのも当の双子だけの話なら勝手にしてくれと思うが、彼らに深く関わる第三者にとっては迷惑だよなぁ(笑)




・第24話 「百合の吐息」

伊万里とのゆり。

同じ大学の学生で、現在一緒に暮らしている。

21話で登場した伊吹先生がこのお話にも。

彼がいかにモテまくってるかに終始するような内容だったが、皮肉にもいちばん好きだった人は友達に取られたという話を聞いて「僕元気が出てきました」と喜ぶ伊万里が素直で可愛い。

のゆりは伊吹先生のことが好きらしい。

ならなぜ、伊万里を選んだのか?その理由を知れば、のゆりの気持ちも解らなくはないような。

いやでも、それはやっぱりダメだろー。


考えるな 考えるな
走れば 間に合う
そう思って 走れ



走った先に、 彼女がいるといいね。


ところで、「時計の中に虫がいる」というのは何の暗示だったんだろう?

吉野作品には、何を意味するのか解らない、でも読み流せない、喉の奥に引っかかる魚の小骨みたいなエピソードがしばしば出てきて、それが取れないまま本を閉じるのが悔しかったりする(笑)


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[2010/09/17 16:22] 吉野朔実 | トラックバック(0) | コメント(0) | @
いたいけな瞳 5
いたいけな瞳 5 (ぶーけコミックスワイド版)いたいけな瞳 5 (ぶーけコミックスワイド版)
(1992/11)
吉野 朔実

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・第17話 「いつも心にスキップを」

スキップというのが君の名前だった
「小学生の時 クラスでひとりだけ
スキップが 出来なかったの
先生までが 指をさして笑ったわ
ひどいでしょ
でも かわいい名前だから そのまま使ってるの」


君には根性があった



スキップ

君はまるで


悪夢みたいな女




…この流れで「悪夢みたいな女」とくるか(笑)


亨(とおる)と辻子(つじこ)。
式は挙げたが入籍はまだの新婚夫婦。

スキップは、亨がまだ会ったことのない 辻子の親友。

そのスキップが、今から家に来ると言う。

「5人の男と同時に付き合ってる」と聞いて想像するイメージとは、あまりにもかけ離れた童顔。
加えて中身はもっと想定外。

まるで息子の見てないところで嫁をいびり倒す姑の如く、亨の痛いところをグサグサ突いてくる。


あんたなんか 辻子に養ってもらってるくせに

親にも仕送りしてもらってるんだって?

避妊も出来ない男が結婚だって
笑っちゃうわ



はいはい。ほんとにその通りなんだけどね。
大学院でお勉強してるといっても、妻が働きに出てて自分が家に居る時くらい、掃除とか夕飯の支度とかしたらどうなのよ?!とは、私も思う。

…にしても、なんでこんな激辛毒舌女が辻子の親友なのか。

たま~に、現実にも なんでこの二人が友だちなのかと意外に思うような取り合わせに遭遇することもあるけど、こればっかりは本人たちにしかわからない。


辻子は、思いやりも良識もある 見た目も楚々とした女性で、 スキップにとっては数少ない大事な大事な人のひとりだった。

その大事な友だちの結婚相手というのが、話に聞く限りでは甲斐性なしのごくつぶし。

場合によっては本気で別れさせるつもりだったんだろうけど…


道を歩いてて、交通事故で死んだ猫を見つけた時、埋めてあげられる人って、そうはいないと思う。


意外に涙もろくて お人好し。
亨は結構いいヤツだった。


スキップが置いていったポインセチア。赤い毒の花。

普通 花を食べることなんてないから知らないだけで、毒のある花は実は身近にいくらでもある。

子どもの頃の、いちばん幸せなクリスマスと、いちばん悲しい出来事を 一度に思い出させる花がポインセチアだったんじゃないかな。


花言葉は「祝福」




・第18話 「天使の祝福」

秋吉久子(あきよし ひさこ) 23歳。小学校の非常勤講師。只今失業中。アルバイトでホテルの清掃員をしている。

経堂一臣(きょうどう かずおみ) 25歳。神の祝福を受けたとしか思えない美貌のトップモデル。

羽咋拓人(はくい たくと) 25歳。高校教師。久子の見合い相手。一臣の小中学校の同級生。


久子と羽咋の見合いの席に、偶然居合わせた一臣。

見合いに使われたホテルは、夜ともなれば久子の職場。
一臣はそのホテルの最上階に住んでいると言う。

翌日、ホテルを清掃中 一臣に再会した久子は「一ヶ月で百万円、三食昼寝付きのバイト」を持ちかけられる。

「秘密厳守」という その仕事の内容とは…


これは、聞いたら誰でも驚く。顎が外れるってくらい。


天使様の祝福は 人にはちょっと重すぎる


なんにもしなくてもただそこにいるだけで 周りに星を撒き散らしてるような美貌の人が、好きになるのは決まって盲目の女の子。
そしていつも、半年くらいでフラれてしまう。

なんて皮肉な必然。


人間離れした美貌は、祝福ではなく呪いだったのかもしれない。
そこそこの美貌だったら、きっと今頃になって苦労することはなかった。いろんな意味で。



一臣はもちろんだけど、まともに見えて その実いちばんぶっ飛んでたのは羽咋さんだったな~。
まさかの結末に、更に驚愕のおまけ付き(笑)

あ~、面白かった!!!



「ばかねえ

天才と皇族と芸能人は
友達の友達にしとくものよ」
(by 久子の同僚B)

は名言だと思う(笑)




・第19話 「犬」

ある日突然いなくなった父を、毎日毎日 踏切の前で待ち続ける栗太(くりた)。


どの電車にも 父が乗っているようで

いつまでも 帰ることができなかった



母に止められてからは、今度は駅の改札口で父を待ち続けるが、それもやっぱり止められる。

ある日、栗太が拾ってきた仔犬はどんどん大きくなり、いなくなった父の代わりのように記念写真にも納まり、かつて栗太がそうしていたように、毎日 踏切の前で栗太の帰りを待っている。


父が失踪した時はまだ小学校にもあがっていなかったと思われる栗太が、(たぶん)中学生になった頃、踏切で声をかけてきた見知らぬ男は「その犬と お父さんの情報を交換しようか」と言った。

男の名前は伊吹啓一(いぶき けいいち)。
父の友人で、かつては彼も、栗太の母に思いを寄せていた。


…犬小屋に「いぬ」って書かれてるのには笑った。

名前つけなかったの?それとも犬に「いぬ」という名前をつけたのか。
名前をつけると話の重心が犬に偏ってしまうから、作者が敢えてそうしたのかもしれない。

そういえば、高校の時の友だちに、猫に「犬(けん)」って名前をつけた子がいたっけな~

…なんてことまで思い出した。


閑話休題。


失踪した父の居場所をつきとめて会いに行った時、これほどハラワタが煮えくり返る状況って、そうはないと思う。
もともと腹は立ってるけど、これはもう、母と自分に対する侮辱ではないのかと。

私ならあそこで「お父さん お久しぶりです。僕、栗太です。いやー、お父さんが出て行ってからいろいろとたいへんでした。いなくなるならせめてひとこと言ってからにしてくださいよ。」とにっこり笑って挨拶してやるけど。


栗太くんは大人だった。
いや、いっそバカバカしくなって何も言えなかったのか。


今 ぼくが 考えているのは
ぼくの ぼくに対する 責任について

どんな人間かということよりも
明日 どんな人間に なれるかということだ



この子はきっと、父親みたいな大人にはならない。
息子の反面教師になれたのなら、あんな父親でも少しは役に立ったということか。




・第20話 「夢喰い」

雨の日はいつも 悲しい夢で 目が覚める



美大生の耀(かがり)には、ちょっと変わった癖がある。
「癖」というより超能力じゃないかと思うが、本人いわく「癖」だそうだ。

自分の意思で操れるものではないから、「癖」でいいのか やっぱり。


ある日、デッサン室で見つけた誰かのスケッチブック。

そこに描かれていたのは、ちいさなシーツおばけ。

何を思ったか、耀はその絵に「あるもの」を描き加える。


スケッチブックの持ち主は、名前も知らない男子学生。
いつもひとりで 絵を描いている人。

耀は彼に恋をするが、どうも上手くいかない。



…夢の中のシーツおばけ(シーツを頭からすっぽり被ったちいさな女の子)、顔も何も見えないのに、仕草がすごく可愛くて、ぎゅーっと抱き締めたくなる。

あと、耀の友だちの神宮(じんぐう)くん、いい子だなぁ…。
好きだわ こういう子。


どうしようもなく切なくなるが、5巻の中で いちばん好きなお話だった。

最後のページの やさしい絵に 救われる。


ありがとう

思い出せて よかった



ああ、よかったなぁと、心から思う。


このお話は特に、ちょっとでもネタバレしたくないので、いつもにも増してわけわからんだろうなと思いつつ、終わる(笑)


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[2010/08/04 16:42] 吉野朔実 | トラックバック(0) | コメント(2) | @
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