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恩田陸「不連続の世界」
不連続の世界不連続の世界
(2008/07)
恩田 陸

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作者のデビュー作「六番目の小夜子」を読んで以来、彼女の作品を読むのはなんと18年ぶり 2冊目。

第3回ファンタジーノベル大賞の最終選考まで残ったという「六番目の小夜子」は、漫画家の秋里和国の絵が表紙を飾った文庫本として刊行された。
(後に、大幅に加筆されて新たに刊行されたので、現在流通しているものは私の持っていたものとは表紙絵も違う。)

小夜子という名前、そして表紙のセーラー服の少女のビジュアルから、吉田秋生の「吉祥天女」を連想したのを覚えている。

ちなみに、その年のファンタジーノベル大賞を受賞したのは、佐藤亜紀の「バルタザールの遍歴」。



「六番目の小夜子」は、不思議な小説だった。

何が不思議って、何度読んでも しばらくすると内容を忘れてしまうのだ(笑)

同じ本を再読することなどほとんどない私が、この本は珍しく何度も読んだ。

面白かったからというよりは、設定は覚えているのに結末を忘れてしまう自分が不思議で。

結局、「何度読んでもなぜか覚えていられない本」という印象だけを残し、この本は友人のもとへ嫁に行ったのだった。



デビュー作の1冊だけで、恩田陸という作家は私の中で「覚えていられない小説を書く人」という失礼なレッテルを貼られていたのだったが、逆にそのせいで名前は忘れられなかった。

その作家の本を、なんで今更また読む気になったのかというと、この「不連続の世界」という短編集の中の一編を「蟲師」が好きな人にはお勧め!と、ある人がコメントしていたので。


音楽ディレクター塚崎多聞が主人公の どれもちょっと怖くて不思議な話 「木守り男」「悪魔を憐れむ歌」「幻影キネマ」「砂丘ピクニック」「夜明けのガスパール」の全五編。

舞台は、奈良だったり尾道だったり鳥取砂丘だったりといろいろ。

件の一編は「悪魔を憐れむ歌」で、これは奈良が舞台だった。


聴いていると死にたくなる声がある


そんな都市伝説めいた噂を耳にした多聞が、仕事とは関係なく、個人的な興味から その声の主を捜し始める。

地方のFM放送局で、手違いから流された曲に、リスナーからの問い合わせが相次ぐ。

おそらくは地元のアマチュアミュージシャンが送ってきたMDらしいが、スタッフの誰もがそのMDを手にした覚えがなく、作者についても歌手についても何の情報も持っていない。

MDに貼られたシールに書かれた「山の音」というのがその曲のタイトルらしい。

特に上手いわけでも下手なわけでもない女性ボーカリストの、アコースティックギター一本の弾き語り。

リスナーの要望により再度流されたその曲を録音して聴いていた何人かが、次々と不審な死を遂げる。

以来、謎の女性ボーカリストは巷で「セイレン」と呼ばれることに。

美しい歌声で船乗りを惑わせ、海に引きずり込む魔物の名前。

セイレン本人ではないにしても、そのMDの送り主をほぼ特定した多聞は奈良へと向かうが…



…なるほど。

「山が鳴る」時の描写や、山がまるで意志を持っているかのような(この場合はまさにそうなんだけど)表現が、確かに「蟲師」の世界と通じている。

まあ、「蟲師」はこの際置いとくとして、どのお話もミステリーとホラーを足して二で割って水で薄めたような味わいだった。

謎を解いても、それでお終いにならないところが怖いといえば怖い。

からくりはわかっても、それだけでは説明のつかないものが残る。

例えば「悪魔を憐れむ歌」の場合、MDを送ってきた人物も、どうやって曲を流させたのかも、その目的も全てわかるが、その後に起きた出来事については説明がつかない。


「夜明けのガスパール」の、男四人の夜行列車での徹夜の怪談話。

その怪談話の中には、誰の仕業かはわかっても動機も方法もわからないものがあった。

説明がつかない、理解できないものには、背中に虫が這うような恐怖を覚える。


唯一「幻影キネマ」は、多聞の推理で綺麗に解決したが。

それでも、改ざんされた記憶の中の「赤い犬」の意味するところを知ると、やはりぞっとせずにはいられない。



「夜明けのガスパール」は衝撃的だったが、同時に 騙されたような不快な気持ちにも。

こういう手法もありだろうけど、それまでの四編では多聞が探偵役だったことを思うと「なんかずるくない?」と思ってしまう。

多聞の主観で見ているものを、読者は当然真実だと疑わずに読み進める。そこを逆手に取られたようで。

あのドンデン返しには確かにインパクトがあったけど、素直に「すごい!」とは思えないのだった。



あとがきによると、「『夜明けのガスパール』は、この本のタイトル『不連続の世界』を象徴した一編」とある。

何を持って「不連続」としたのか、私にはわからなかったが。


少なくとも「六番目の小夜子」のように、すぐに内容を忘れてしまうということはないと思う。


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テーマ:ファンタジー・ホラー - ジャンル:本・雑誌

[2010/10/10 16:06] 恩田陸 | トラックバック(0) | コメント(2) | @
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