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魔空の森 ヘックスウッド
魔空の森 ヘックスウッド魔空の森 ヘックスウッド
(2004/11)
ダイアナ・ウィン ジョーンズ

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「ジョーンズ女史の作品の登場人物には、最初に見たままの姿の者がひとりもいない」という評をどこかで読んだ覚えがあります。
それはちょっと大げさ過ぎるとしても、この「魔空の森」はまさにそういう作品でした。


全宇宙を支配するレイナー一族。
彼らが、辺境の星 地球に封印した「バナス」という機械が稼動を始めたのが、事の発端でした。
身分を偽ってレイナー・ヘックスウッドに就職した、コンピューターの扱いだけは天才的な詐欺師まがいの男が、遊び半分に封印装置を解除してしまったのです。


このバナスは、シータスペースと呼ばれる磁場を作り出し、その中にいかなる状況も生み出すことができ、いかなる人物も設定できるというシロモノ。
しかも生きた人間をも取り込むことができ、そうなるとそこに取り込まれた人は、与えられた役柄をそれとは気付かずに演じ続けることになります。
それも、最良の結果が得られるまで何度も何度も。(演じている当事者たちは、その「繰り返し」には気付いていません)

放っておけば、遠からず地球全体がバナスの磁場に取り込まれてしまうため、それを阻止すべく次々と地球へ向かうレイナーたち。


一方、ロンドン郊外のヘックスウッド農場の近くに住む14歳の少女アンは、散歩に出かけた森の中で古いコンテナを見つけます。
その中から出てきたのは、骨と皮ばかりに痩せ細ったモーディオンという魔法使い。
何世紀も箱の中に封印されていたと言うモーディオンは、アンの足の傷から流れた血と自分の血を混ぜ合わせ、「ヒューム」という名の少年を作り出します。


アンとモーディオンとヒューム、そして、旧式ながらも超高性能のロボット「ヤム」。
モーディオンとヒュームとヤムは森で暮らし始め、アンは度々彼らの様子を見に森へ出かけるのでした。


いったい、レイナー一族と彼らの間にどんな繋がりがあるのか?
そして、バナスが導き出そうとしている「最良の結果」とは?



…バナスよりも私の頭が久々のフル稼働で、読み終えた時にはどっと疲れが(笑)
読了までに何日かかったかな…。
何度も何度も前に戻って読み返したり、読んでいる間にほかの本に浮気したりで、これ一冊読み終えるまでに他の本を何冊も読破しましたわ…。


とにかく、何もかもが複雑で。
バナスの影響で、アンが森に行く度にヒュームの年齢が違っていたり、一緒に暮らしているはずのヤムが、廃棄されてゴミに埋もれているのを発見したりで、時系列がバラバラなことにまず疲れました。
数時間前に村で買い物をしていたはずのモーディオンが、アンが森へ行ってみると「今年の冬は食糧不足だから、時間ができたら村へ買い出しに行く」とか言ってたりするんです。


イライラしながら読んでいましたが、「天秤の館」でレイナーたちの衣装係を担当しているヴィエランという娘が「あること」に気付いた辺りから、俄然面白くなってきました。
読み手の私までが、最初からバナスの磁場に取り込まれていたんですよ。愕然としました。


時々頭の中で聞こえる4人の声を、アンは自分が作り出した想像上の友だちだと思っていますが、実は4人とも実在していて、この正体にもびっくりです。
ただし、アンが彼らに話しかけている時、受け答えしている彼らの時間軸はバラバラらしく、彼らの受け答えからその正体を推測するのはまず無理。



最初は、「宙域監督官」やら「シータスペース」やらと、いかにもSFといった感じですが、バナスが森に作り出した幻の城には王様や騎士や貴婦人がいて、磁場の中はまるで中世のヨーロッパです。
そのギャップがまた面白いのですが、あまりに設定が複雑すぎて、作者があちこちに張ったと思われる伏線に、なかなかそれとは気付けないのが惜しい。

読み終えてすぐ再読しました。
面白かったからもう一度というのではなく(いえ、面白くないわけでは…)、一度読んだだけでは理解し切れなかったのが悔しく、バナスに騙されていない状態でもう一度というわけです(笑)
久々に頭の体操になった本でした。


それにしてもこの本、ルビがふってあるし、本屋さんでは児童書コーナーに並んでいるらしいのですが、子どもには難しすぎるのでは…。
いや、もちろん子どもにもよりますけど。

総ルビなので、単純に文字を追うだけなら小学生でも読めますが、内容を考えると、対象年齢は中学生以上かなと思います。


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テーマ:児童書 - ジャンル:本・雑誌

[2009/09/26 16:52] ダイアナ・ウィン・ジョーンズ | トラックバック(0) | コメント(2) | @
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