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海街diary3 陽のあたる坂道
海街diary / 3 / 陽のあたる坂道 (flowers コミックス)海街diary / 3 / 陽のあたる坂道 (flowers コミックス)
(2010/02/10)
吉田 秋生

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父が亡くなり、すずが鎌倉で香田家の三人の異母姉たちと暮らし始めて一年。
父の一周忌法要のために山形に向かった四姉妹だが、そこで意外な事実を知らされる。
すずの継母だった陽子には結婚を前提に付き合っている人がいて、もう既に一緒に暮らしているのだという。
そういう事情だから施主は出来ないと陽子の叔父夫婦に謝られ、あっさり施主を引き受ける幸。
一方、すずは、父が死んで一年も経たないうちに他の男と暮らし始めた陽子にも、それを怒らない幸にも怒りが収まらない。


「どうして怒ってくんなかったの!?
陽子さんひどいって!
なんで言ってくんないの!?」




父を看取った、まだ中学生のすずと、父のいない時間のほうが長い姉たちとでは、当然ながら反応に温度差がある。
まあ、陽子本人がいないところで、叔父夫婦にどうこう言っても仕方ないわけだから、まっとうな大人は幸みたいな対応をするんだろうなぁ。
でも、すずにそれを求めるのは酷だと思う。
それでなくても、父の入院中からお葬式まで、陽子に言ってやりたいことが山ほどあっただろうから、トドメとばかりのこの出来事にブチ切れても無理はない。


陽子さんみたいな人、現実にもいるよね…。
そういう人になりたいとは間違っても思わないけど、なんのしがらみもなくって生きるのラクそうでいいよね~と時々思う。
大人になると、いくら面倒でも避けて通れないことは必ずある。
だけど、そういう面倒事は他人に押し付けてシレッとしてるし、子どもよりも自分の幸せや男が優先。
ほんと、ラクそうだわ~(笑)


すずもそう思っていただろうけれど、姉の千佳や義理の弟だった和樹の言葉にハッとして、自分を客観的に振り返るあたり、この子、私と違ってまっすぐだ(笑)


「嫌い」は「好き」よりずっと早く伝わってしまうのかもしれない



ああ、きっとそうだね。

昔、母に言われたことを思い出す。

「あなたが嫌いだと思ったら、その人もきっとあなたのことを嫌ってる」

だからむやみに人を嫌うものじゃない。その人の良いところを見つけなさいと言いたかったのだろうけれど、これがなかなか難しい。
その人を理解しようと努力するより、ただ嫌うほうがずっと楽なのだ。
見ようとしないから、良いところが見えない。
自分の見たいものだけ見ていたほうが楽だから、いつまで経っても見えない。




すずが所属するサッカーチームのエースで、病気で右足の膝から下が義足になった裕也。
リハビリの甲斐あって、またプレーできるようになった裕也だが、やはり以前と同じようにはいかない。
すずを含め、チームメイトのほとんどがそのことにショックを受ける中、風太だけは「やっぱあいつスゴイよ」と言う。
早々に右足に見切りをつけて、左足だけでプレーしていたのだと。

それを聞いたすずは、「みんな裕也のダメなとこばっか目がいってた」と、まさに目からウロコ。
そのことに気付いた風太を「すごい」と絶賛する。


これは、嬉しい。
裕也がまだ諦めていないってわかったことも、風太がそういうところをちゃんと見てる子だったってことも。



幸の職場の後輩、ダメナースだと思っていたアライさんの意外な一面を見た幸もまた、今まで見えなかったものが見えてくる。
いろいろと抜けたところのあるアライさんが、患者の安全に関わるようなミスは決してしないということ。



ひとつの出来事がきっかけで、その人を見る目が変わることって、たまにある。
「ああ、こういう人なんだ」と思ってあらためてよく見ると、次々と新発見があって、すずが言う、真昼の月を見た時みたいに、なんだか得した気分になる。



「情緒豊かな」っていうのは、きっとこういう作品を言うんだなぁ…。
鎌倉の古い美しい町並みも、移ろう季節も、読む度に肌で感じられるような気がする。
そんな中、香田家の姉妹を中心に、そこで暮らす人々の人間模様がきめ細やかに描かれる。


「BANANA FISH」や「夜叉」みたいなハードボイルドが十八番かと思えば、こんな味わい深い家族ドラマまで…!
印象が違いすぎて驚くものの、やっぱり根っこは同じなんだと納得もする。


大好きだったけど、毎回綱渡りの気分で、読んでて非常に心臓に悪かった「BANANA FISH」と違い、「海街」はコーヒー片手にのんびり落ち着いて読めるのが嬉しい。

この巻では予感だけだった幸とすずの(佳乃も?)新しい恋の行方は、また一年後のお楽しみ。


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[2010/02/24 12:20] 吉田秋生 | トラックバック(1) | コメント(4) | @
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