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村山早紀「カフェかもめ亭」
カフェかもめ亭 (ポプラ文庫ピュアフル)カフェかもめ亭 (ポプラ文庫ピュアフル)
(2011/01/06)
村山早紀

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「コンビニたそがれ堂」と同じく、風早の街が舞台の短編集。

2001年に「ささやかな魔法の物語 カフェ・かもめ亭」というタイトルで刊行された児童書に加筆・訂正し、書き下ろし中編を加えて、今年やっと文庫化されました。

この元版をずっと前から探していたのですが、Amazonマーケットプレイスに常に何点か出品されていた古本は、どれもかなり高くて。

5年も後に出た「コンビニたそがれ堂」が先に文庫化されているのだから、この本もそのうちきっと…と思うと、定価より高い古本を買う気にもなれず、辛抱強く待ち続けた甲斐がありました。


ただ、「ささやかな魔法の物語」のカバーイラストがすごく好きだったので、ちょっと残念。

文庫版の表紙も、あたたかな色合いの絵で 決して悪くはないのですが…




古い歴史をもつ海辺の街、風早の街。
その港のそばの、明治時代からの洋館が今も建ちならぶあたりに、わたしの店はあります。



こんな書き出しで始まる「カフェかもめ亭」

帆船の客室やイギリスのパブをモデルに、オークの木と煉瓦で作られた重厚な建物ですが、壁をはう蔦の葉やゼラニウムの鉢がかわいらしさを添えています。

扉にはめ込まれたステンドグラスの図柄は、青い海に歌う人魚姫と その頭上を舞うかもめの群れ。

貝殻で作られたかもめのモビールが揺れ、店の真ん中では小さな自動ピアノが懐かしいメロディーを奏でています。

マスターは、祖父から店を引き継いでまだ数年の広海(ひろみ)。

曽祖父の代から70年近く続くカフェかもめ亭には、様々なお客がやって来ては 不思議な話を聞かせてくれるのでした。




「マスターは、生まれ変わりって、信じます?」


店の壁に貼られたばかりのポスターを目にして、そう話し始めたのは、常連の高校生 澪子。

彼女が小さい頃からよく見るという夢の話。

その夢の中で、澪子は砂漠をひとりで旅する12歳くらいの少女です。

わずかな水と食糧と、短剣を渡され、親に捨てられた子どもでした。

その少女が砂漠で見つけた、枯れた大きな木と、その根元に湧く小さな泉。

そのほとりに、ある日 奇跡のように芽吹いた緑。

驚くほどの速さで生長したその草は、やがて蕾をひとつつけるのですが… 


いつもいつも、心の中に青い色があったんです。
その色がとてもなつかしいから、いつも青い色を追いかけてきました。
何だか、のどがかわいているみたいな気がいつもしていたんです。
でも、もう、みつかりました。
世界で一番きれいな青い色。あの日の、空と泉の水の色。
あの花の色が、わたしの青色です。
 (砂漠の花)




「七つの海の彼方から、今日もいろいろ持ってきましたよ、マスター」


世界中を飛び回って雑貨を仕入れてくる寺嶋雑貨店の主は、店に飾られた青い紫陽花を見て、子どもの頃の思い出を語り始めます。

小学五年生の初夏に訪ねた、紫陽花の咲き誇る美しい屋敷。

真っ白なコリー犬を従えた、「あずさ」という名の少年。二人の弟と、優しい両親と祖父。

世界の果てにあるという地球樹の話をしてくれた あずさは、一体何者だったのか?

二度と辿り着くことができなかったあの屋敷は、そしてあの一家は、現実に存在したのだろうか? 


今もぼくは、遠い国を旅している時、この国に、あの世界樹の庭があるかもしれない、あの不思議な青年と会えるかもしれない、と思うんです。
そうして、美しいものや珍しいものをみつけて日本に持って帰るたびに、どこかの街角で、あずさに出会い、あのなつかしい家族たちと会って、「ほらこんなものを持ってきましたよ」と、みせてあげられるような気がするのです。
 (万華鏡の庭)




カウンターに飾られた 「テディ・ベア」という名のバラを見て、昔の友だちのことを思い出したのは、もうすぐ高校生になる かおる。

小学四年生の頃、何もかもがモノクロにしか見えなくなった眼に ただひとつ色がついて見えたもの。

公園で出会った茶色いとら猫を、かおるは「ねこしまさん」と呼んでいました。

学校に行けなくなったかおるの たったひとりの友だち ねこしまさんは、どうやら「猫の国」の王子さまだったらしいのですが… (ねこしまさんのお話)



ほかに、「銀の鏡」「水仙姫」「グリーン先生の魔法」「かもめ亭奇談」「クリスマスの国」の五編を収録。

書き下ろし中編「クリスマスの国」は、その日初めてかもめ亭を訪れたお客さまが語り手で、なんと彼は「コンビニたそがれ堂」で探しものを見つけてきたばかりです。




どのお話も、美しいけれど どこか哀しい。



私は、「砂漠の花」がいちばん好きです。

花を咲かせた少女と、その花に救われた旅人と。

自分が それと知らないままに救った命があることを、長い長い時を経て知ったあの子は、もう 砂漠の夢を見なくなるような、そんな気がします。


少女と旅人、双方の物語を知っているのは今のところマスターだけですけれど…

後に、澪子はきっと、マスターか 例の友人のどちらかから 砂漠の旅人の物語を聞くに違いないと思うので。



「万華鏡の庭」は、阿刀田高さんの短編にありそうな(あちらはもっとうんと大人向けですけれど)、ちょっと奇妙な味わいで、これも好き。

紫陽花の屋敷も、「あずさ」も、結局何だったのかは明かされないままですが、きっとそのほうが良いのだと思います。

不思議は不思議のままがいい。

どんな出来事も合理的に説明できてしまうなんて、つまらないじゃないですか。

読者は、あの屋敷は、現実の時の流れとは違うところに在って、あの日たまたま現世と繋がっていたところに寺嶋少年が迷い込んだのだとか、それとも 寺嶋少年が かつてあの屋敷が存在した時間にタイムスリップしたのだとか、いろんな想像を巡らせるのです。





八編の中には、一見不思議な話でも からくりの解るものもあれば、「万華鏡の庭」のような正真正銘不思議なお話もあります。


書き下ろしの「クリスマスの国」、本来なら哀しい結末を想像してしまう展開なのですが、「たそがれ堂」に辿り着いたのなら きっと大丈夫!と思えてしまうからすごい(笑)

そこでプレゼントを見つけられたのなら、きっとアリスに会えるはず。それを渡せるはず。


風早の街は、私の中で徐々にリアリティーを増していってます。


元版の表紙はこちら↓

ささやかな魔法の物語―カフェ・かもめ亭 (ポプラの木かげ)ささやかな魔法の物語―カフェ・かもめ亭 (ポプラの木かげ)
(2001/12)
村山 早紀

商品詳細を見る



ああ、こんなカフェが近くにあったら、間違いなく常連になるんだけどなぁ…




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テーマ:児童書 - ジャンル:本・雑誌

[2011/01/30 00:38] 村山早紀 | トラックバック(0) | コメント(4) | @
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