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ひかりの国のタッシンダ
ひかりの国のタッシンダ





「ムッドレのくびかざり」同様、この本もフェリシモの企画により復刊したものです。
ただし、こちらはムッドレと違って、訳は1968年の学研版と同じ。ほんとの復刊ですね。
アメリカの児童文学作家エリザベス・エンライトが、それまでの写実的な作品から離れて初めて書いたという、民話風のファンタジーです。


遠い遠い世界の果てにあるタトラジャンという山に、豊かで平和な王国がありました。
地中深く燃える火のため、一年中暖かで緑豊かなその国「タトラン王国」は、厚い靄の壁に守られた閉鎖空間で、その国の存在はそこに住む人々しか知りません。
靄には毒が含まれていて、タトラン人たちが外の世界へ出ることができない代わりに、外敵の侵入をも阻んでいたのです。
タトラン王国に出入り出来るのは、靄の壁のはるか上空を飛ぶことの出来る鳥だけでした。


主人公の少女タッシンダは、その昔、ワシに攫われて運ばれてきたところを老貴族に助けられ、この国で育ったたった一人の異国人です。
雪のように白い髪と青い瞳のタトラン人の中にあって、タッシンダの金色の髪と茶色の瞳は異質。
絶えず偏見にさらされながらも、養父母の惜しみない愛情にはぐくまれ、まっすぐに育ったタッシンダは、やがて国いちばんの機織りの名手となるのでした。



…う~ん。
外の世界との交流が一切なく、皆が皆一様に同じ外見で、それしか見たことがなければ、確かに髪と瞳の色が違うだけで気味が悪いのかも…とは思うのですが。
でも、白髪の人ばかりの中にいると、金髪が余計に映えて綺麗に見えるんじゃないの?と思ってしまった(笑)
外の世界から鳥に運ばれてきた金色の髪の子どもって、もうそれだけで天使みたいに思えて、差別どころか有難がりそうな気がしませんか?
タッシンダはとても美しい娘で、タトラン人と違うのは髪と瞳の色だけなんですから。

いっそ黒髪にするとか、肌も違う色にするとか、白とのコントラストがはっきりしていれば、タトラン人の偏見にももっと説得力があったのになぁ…(そういう偏見を肯定しているわけではありません。念のため。)
ああ、でもそうすると、未だ根強く残る人種間のデリケートな問題に触れてしまうからか。
日本でも「ちびくろサンボ」が長い間絶版になってたくらいですもんね。

あるいは、作者は、現実の白人社会では美しいとされる金髪でも、ところ変われば異端視されるということを書くことで、己とは異質な者を排除しようとする心根の卑しさを戒めたかったのかもしれません。


タッシンダの家の近所のおばさんの陰口ときたら、ひどいものです。

「それくらいなら、チムバトック(タトラン特有の動物)を養子にしたほうがましよ、そうじゃない?」
「なんてぎらぎらしたかみの毛でしょう。それにあの、へんにくらい目の色ったら。
なんだか見てると、からだがふるえてくるわ。」



陰でどんなことを言われても、タッシンダが素直で優しい娘に育ったのは、養父母が娘を心から愛していたからです。
初めて学校へ行った日にいじめられそうになったタッシンダを、タカタン王子が庇ってくれたお陰で、それ以降は辛い思いをすることもなく、友だちも出来ました。


それでも、タッシンダの養母でさえ「あの外見では娘は結婚できないだろう」と思っていて、せめて一人で生きていくための術を身に着けさせようと「トートル(じゅうたん)」の織り方を教えたのでした。

お陰でタッシンダは、両親亡き後も、ふたりの遺してくれた家やその他の財産とトートル織りの技術でじゅうぶんに食べていくことができました。
たったひとつ、叶いそうにない願いを抱えているため悲しくなることもありましたが、日々は穏やかに流れていったのです。


そんなある日、桃源郷ともいうべき平和なタトラン王国に、史上始まって以来の大事件が。

ガドブラング国のジョールゴングという巨人が、タトランに豊富な とある鉱石を目当てに、靄の壁を越えてやってきたのです。
どうやらこの巨人には、靄に含まれる毒などなんでもないようでした。

皮肉なことに、ジョールゴングには、タトラン人の中で唯一タッシンダだけがまともに見えたらしく、姪へのみやげにとタッシンダを攫って行ってしまいます。
果たしてタッシンダの運命は…?



ストーリーはシンプルで解りやすく、色とりどりの水晶でできた家々や宮殿、タトラン特有の変わった動物たち、タッシンダの織るトートルの模様の美しさなど、ちいさな女の子が目を輝かせて喜びそうな物語です。
アイリーン・ハースのカラー挿絵も素晴らしい。


でも、私は多分、子どもの頃に読んだとしても、それほど夢中にはなれなかったかも…。
全部「タ」で始まるタトラン人の名前とか、全部「チ」で始まるタトラン特有の動物たちの名前とか、作者の造語である挨拶の言葉とか、読んでるうちになぜかイラッとしてきて、ダメでした。
ガドブラング国の巨人の、やたら濁音の多いうるさそうな名前との対比とか、面白いと思うんですけどね。

私のようなひねくれた大人が読むと、余計なことを考えてしまって素直に楽しめないだけで、たいていの子どもにとっては楽しいお話だと思います。
実際、「子どもの頃に読んでずっと忘れられなかった」と、たくさんの方が復刊を希望していらっしゃった作品なので。

でも、私はやっぱり、同じ作者の作品なら「ゆびぬきの夏」の方が好きだなぁ…。


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テーマ:児童書 - ジャンル:本・雑誌

[2009/10/20 16:40] エリザベス・エンライト | トラックバック(0) | コメント(2) | @
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コメント
--NO TITLE--
ふと、ひかりの国のタッシンダで検索してたどりつきました。
70年代に小学校の図書室で読みました。復刊していたのですね。
こちらを読んでいろいろと思い出させてもらいました。ありがとうございます。そして「....イラッとしてきて、ダメでした。」で吹き出しましたのでコメントを書くことにしました。当時の小学生が表せなかった気持ちを、現代の?言葉で表現してくれてありがとう。絵のきれいな、好きな思い出の一冊ですが、確かにこういう面もあったと思います。
[2010/09/21 14:31] URL | #- [ 編集 ]
--はじめまして--
コメントありがとうございます!

この本の色鮮やかで繊細な挿絵は、私も好きです^^
あと、一生に一度だけ、大切な質問に答えてくれる魔法使いのおばあさんとか。
ちいさな女の子が読んで胸を躍らせるような本ですよね。

絶版になっても、こうして多くの人の希望で復刊が叶う本もあり、そういう本は幸せだなぁと思います。

レビュー読んで笑っていただけるなんて、私も幸せです^^
ありがとうございましたm(__)m
[2010/09/21 15:50] URL | asagi #9kA7E2gM [ 編集 ]
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