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いたいけな瞳 2
いたいけな瞳 2 (ぶーけコミックスワイド版)いたいけな瞳 2 (ぶーけコミックスワイド版)
(1991/11)
吉野 朔実

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・第5話 「愛が怖くてテロができるか」

ダム工事中止と市長の辞任を求めて、市長の息子を誘拐したテロリスト(氏名年齢ともに不詳)。
誘拐された市長の息子 山田新也(15歳)。


「緑の平和」なんてふざけた組織名を掲げ、大学のサークル活動のノリでやってるのかと思えば、実際に爆弾を仕掛けて一般人に死者を出してたりもする。


「N川のダム工事が とりあえず延期されるまで しばらく僕と旅行してもらえれば それでいいんだ」と、新也を連れ出せば、新也が行きたいと言ったのは東京のとある風俗店。

マジック・ミラーの向こうの彼女の両親は、「緑の平和」が市長の車と間違えて仕掛けた爆弾で死んだのだと、新也は言う。


「間違いでしたじゃすまされない
運が悪かったといって片づけられない
ぼくは あの事故からずっと
生きてる気がしない
ずっと 死んでるみたいだ」



…そんなまともな感性を持ち合わせてて、なんで万引きなんかできるのか解らない。それも何十回も。
間違いで両親を殺された人に同情することは出来ても、万引きの被害に遭ったお店の経営者の気持ちは思いやれないのか?
だいたい、父親のゴールドカードを持ち出しておきながら万引きするというのが、更にわけわからん。


新也が父親をどう思っているのかは一切書かれていないし、万引きの理由も不明。

テロを肯定するわけでは決してないけれど、主義主張が一貫している分、罪の意識のかけらもないテロリストのほうがまだわかりやすい。

私には、「生きてる気がしない」なんて言いつつ万引きを繰り返す新也のほうが、得体の知れない気持ち悪い生き物に見えてしまう。


ちょっと笑える皮肉な結末。

某環境保護団体をはじめ世の諸々を皮肉ってるような辛口コメディーだった。




・第6話 「おとうさんといっしょ」

ほんとうは ぬいぐるみが欲しかった
大きくって あったかい 毛布のかたまりみたいな くまのプー
百科事典が欲しいといったのは
そういえば父が喜ぶと思ったからだ



…そう回想するのは、会員制私立図書館「月彦記念館」の館長 松本英世(36歳)。

臨月の妻は里帰りしていて、現在一時的に一人暮らしをしている。
そんな彼のもとに、ある日大きな荷物が届く。
つい先日おもちゃ屋で見た、イギリス製のくまのぬいぐるみ。
定価10万円也。
依頼主は「御本人」となっているが…

宛名書きの文字は、父の筆跡に似ているような気がする。
が、父のはずがない。


男性にもマタニティ・ブルーはあるというけれど、今の彼がまさにそれ。


いやだなあ
お父さんになんか
なりたくないなあ



まるで赤ちゃん返りしたかの如く、ピンポンダッシュに石蹴りに、柿泥棒。

実に傍迷惑なおっさんに成り下がっている。

しかし、外見だけは口ひげを生やした身なりの良い紳士なので、余計にタチが悪い。
連日のピンポンダッシュと柿泥棒の犯人にされてしまった通りすがりの子どもがかわいそうすぎる。グレなきゃいいけど…。


「百科事典が欲しい」と言ったことも、入りたくもない少年野球チームに入ったことも、別に強制されたわけじゃない。
お父さんが喜ぶから、良い子だって褒められたいから、全部自分で決めたことじゃないの?


終始イラッとさせられるうざいおっさんだったが、最後には覚悟を決めたらしい。


ところで、くまのぬいぐるみの贈り主は、いったい誰だったのか?


お父さんは、息子が自分を嫌っていたことも、百科事典よりくまのぬいぐるみを欲しがっていたことも、ほんとは全部、知ってたんじゃないかと思う。




・第7話 「少女漫画家の瞳には三等星の星が光る」

一週間で50枚。
ネームもまだ出来ていない。

スランプ真っ只中の少女漫画家 二羽うさ子。


飼っていた金魚が死んだ時、目がとけるほど泣いた後、児童公園の櫻の木の下に、寒椿の花にくるんで埋めたと言う。


その時思ったのよ
いつかきっと 私はこれも ネタにしてしまうに違いない

きっと書きたくなるに違いない

悲しいことも 嬉しいことも
慎ましい気持ちも 優しい気持ちも
他人に見せびらかして
それで自分のお腹を満たすのかと思ったら

悲しかった気持ちも 嘘のような気がして
全部 嘘になるような気がして

とても 寒かったのよ



「寂しかった」でも「悲しかった」でもなく、「寒かった」というのが なんかいいなと思った。
自分の感性の源がスッと冷えていくような感じだろうか?

ものを創る人というのは、ある意味自分の感性を売りものにしてるわけだけど、私を含め そんな感性も技術も持ち得ない大多数の人々は、出来上がった作品を見たり読んだり聴いたりすることで作者の思いを疑似体験する幸福に恵まれる。
その幸福をただ享受する側と違って、当然だけど、創る側にはそんな葛藤もあるのね。

うさ子の担当編集者兼恋人 大悟さんの手腕がお見事。


うさ子とは対照的な漫画家友だちの甘粕さんには笑ってしまった。
「ホモネタしか描かない」と言い切る彼女が今描いているのは相撲部屋モノ(笑)

男達の最後の楽園 国技館に咲いた徒花って…。
化粧まわしにモアイ像やベルサイユ宮って…。
そんなキワモノ、いや 斬新過ぎるネタ、需要があるんだろうか…?



・第8話 「橡」

橡(つるばみ)…「どんぐり」の毬(かさ)を煮た汁で染めた色。黒染色。にびいろ。


互いの親同士の再婚で兄妹となった空(あける)と橡子(しょうこ)。

それを機に、空は、かつて祖父が使っていた離れへと追われる。

血の繋がらない一つ違いの兄妹のこと、両親の心配もわからないではないが、中学三年生といえば男の子だってデリケートな時期なのだ。
意図を察した空の「ひどくプライドを傷つけられた気がして…」という述懐にさもありなんと同情してしまう。


美しくて気が強く、制服のある学校に私服で登校する橡子は、空の通う中学では以前から有名人だった。
間違いなく同性には好かれないと思うが、いじめに遭うよりは敬遠されそうなタイプである。


両親の心配など杞憂だったかのように、空と橡子は程よい距離を保ちつつ、兄妹として月日を重ねてゆく。


…空の視点で描かれているお話なのに、空の真意が解らないのはなぜだろう?

橡子は空が好きで、それはちょっとした表情や仕草にも、切ないほどに表れる。

対して空は、橡子のことはまるっきり妹としてしか見ていないように思われる。
そのことに、時折かすかな違和感を覚えるのだ。


空はおそらく、兄妹になって間もない頃、橡子が制服を着ない理由を「自分でも何故とは知らず それだけはきくまいと決めた」あの時に、妹として以上に橡子を好きになることを、無意識に自分に禁じたのではないか。


花は起きていた

起きて ひと晩中 ぼくの眠りを妨げた

ひと晩中 ぼくの想いを妨げた



切なくも美しい、最後の夜。


空に与えられた庵の佇まいや、橡子の和服姿も美しく、2巻の中ではいちばん好きなお話だった。


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[2010/06/30 17:29] 吉野朔実 | トラックバック(0) | コメント(1) | @
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[2010/07/02 01:55] | # [ 編集 ]
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