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村山早紀「コンビニたそがれ堂」
コンビニたそがれ堂 (ポプラ文庫ピュアフル)コンビニたそがれ堂 (ポプラ文庫ピュアフル)
(2010/01)
村山 早紀

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こんなコンビニ、ほんとにあったらいいのになぁ…と、何度も思いました。



風早の街の 駅前商店街のはずれに、夕暮れ時、古い路地の 赤い鳥居が並んでいる辺りに 時折あらわれる不思議なコンビニ。

もしかすると、それはいつもそこに在るのかもしれません(ただし、営業時間は夕暮れから明け方までです)。

でも、そのコンビニを見つけられるのは、大事な大事な探しものをしている人だけなのです。



そのコンビニには
この世で売っている すべてのものが
並んでいて
そうして
この世には売っていないはずのものまでが
なんでもそろっている というのです




中に入れば、ぐつぐつ煮えているおでんと 作りたてのお稲荷さんの甘い匂い。

レジの向こうでは、長い銀色の髪に金の瞳のお兄さんが「いらっしゃいませ」と、笑顔で出迎えてくれます。





江藤雄太。小学5年生。

中学生にいじめられていた年寄り猫を 傷だらけになりながら助けるほどの猫好き。もとい、正義漢。

猫が縁で仲良くなったクラスメイトの美音は、猫好きなのに猫アレルギーの、可愛くて優しい女の子でした。

その美音が、遠くへ引っ越す前に 雄太に手渡そうとした大事なもの。

友だちに冷やかされるのが嫌なばっかりに、美音が差し出したそれを咄嗟に払いのけてしまった雄太は、その後ずーっと後悔しています。


きっとあの子は、さみしい悲しい気持ちのままで、日本とお別れしたんだ。おれは最低だ。あんなやさしくて、いい子を傷つけちまったんだ……
(コンビニたそがれ堂)




十一月の ある寒い夕暮れ。

お母さんに捨てられたリカちゃん人形を、目に涙をためて探しているのは、小学3年生の えりか。

普段は優しいのに 何かのきっかけで人が変わったように理不尽にえりかを叱るお母さんは、その日、「えりかが部屋を片付けないから」という理由で リカちゃん人形を捨ててしまったのでした。



でも、ママは本当の本当は、あたたかい心を持った、素敵な人なんだ。ほんとはやさしくなりたい女の人なんだよ。パパはわかってる。えりかもわかっているよね。 (手をつないで)




ラジオ局のアナウンサー、野々原桜子。

来年は三十路。田舎の両親には結婚を急かされ、大好きな仕事にも何やらむなしさを覚える今日この頃。

なぜって、桜子がラジオで話す言葉は、電波にのって街中に広がるものの、それっきり消えてしまって どこにも残らないものだから。


わたしがこの街に生きて、毎日ラジオで音楽を流して、しゃべってることって、意味があることなんだろうか? (桜の声)




重い病気を患う猫のあんずが欲しがったのは、人間になれるキャンディ。

寿命を縮めるほどの強い魔法だというけれど、自分を拾ってくれたお兄ちゃんと その家族に、死ぬ前に一度だけでも 人間の言葉で話したかったのです。

緑の瞳の綺麗な白猫は、白いワンピースを着た綺麗な女の子になりました。



……会いにきてね

あたしはもう、ここからいなくなるけれど、星の海で、待ってる。
(あんず)






人々が(時には猫も) たそがれ堂で見つけるものは、探しているものそのものずばりとは限りません。

でも、それは、探しものの向こうにある ほんとうに欲しかったものへと繋がる 何か。

たとえば、「手をつないで」の えりかが見つけたリカちゃんは、えりかのリカちゃんではありませんでした。

けれど、えりかが見つけるのは、あのリカちゃんでなければならなかったのです。



「桜の声」の桜子も、あのストラップを探していた というわけではなく。

彼女の出合った不思議なできごとは、たそがれ堂の魔法というよりは 公園の桜の古木が起こした奇跡のようにも思えます。

季節や時期によっては、思いがけないほど遠くまで届くことがあるというラジオの電波。

それなら、稀に時を超えることだってあるんじゃないかと思えてきます。


桜子の声と 音楽が、時を超えて桜の木から花びらとともに降る。そうしてそこで、死にそうになっていた誰かを勇気づける。

消えてしまってどこにも残らないと思っていた言葉が、確実に誰かの心に届いて希望の灯をともしていたのです。

それはまた、桜子の 明日への希望ともなるのでした。





この本の主人公たちが抱える痛みや悲しみは、大人なら誰しも 多少なりとも覚えのあるものだと思います。

残念ながら、現実の世界に コンビニたそがれ堂は存在しないので、私たちは 痛みも悲しみも 叶わなかった願いも そのまま抱いて生きていかなくてはなりません。

もしもあの時ああしていたら…と、あったかもしれないもうひとつの未来を思って、切なくなることだってあります。

この本はきっと、そんな「もしも…」の続きを見せてくれているのでしょう。



元版は、2006年に刊行された児童書。

この文庫版は、大人の読者向けということで 漢字も文章量も増えているそうです。



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テーマ:児童書 - ジャンル:本・雑誌

[2011/01/21 16:39] 村山早紀 | トラックバック(0) | コメント(6) | @
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コメント
--こんにちは--
心ひかれる本の題名にひきつけられてブログ村からやってきましたら、
asagiさんの素敵な紹介にいっそう『読んでみたい!』気持がつのりました。
早速図書館に注文します!ありがとうございました。

[2011/01/22 12:30] URL | こうまさん #- [ 編集 ]
--こうまさんへ--
こんにちは。はじめまして。

興味を持っていただけて嬉しいです^^

この本の解説には「大人のほうが泣いちゃうかもしれないなあ」とありました。
大人のほうが、「さよなら」の場数を踏んでいるから。

疲れた心にはじわっと効いてくるようです^^
[2011/01/22 16:50] URL | asagi #9kA7E2gM [ 編集 ]
--本カフェから来ました--
コンビニたそがれ堂

良さそうなので、今度読んでみますね。
カバーのイラストもいい感じw
[2011/01/24 23:54] URL | ポポロ #- [ 編集 ]
--ポポロさんへ--
こんにちは。はじめまして。

本カフェ!!!
ずーっとご無沙汰したままです(^^;
おいでいただいて嬉しいです。
ありがとうございます^^

この本良いですよ~
カバーイラストは早川司寿乃さんです。
私も、この方の絵が大好きなんです^^
[2011/01/25 16:44] URL | asagi #9kA7E2gM [ 編集 ]
--ああっ、泣いちゃいました--
そうですね。
大人になったからなんですよね。
とりわけ「てをつないで」は、大人の気持ちも、子どもの気持ちも痛いほどよくわかるので胸を衝かれました。
いい本を教えて頂き感謝です!
[2011/02/04 11:26] URL | こうまさん #- [ 編集 ]
--こうまさんへ--
私も「手をつないで」がいちばん心に残っています。
なんででしょう?私の母は、どんなものでも勝手に捨てることはなかったし、私も母の影響で、子どもの持ち物を勝手に捨てたりはしないのに。
大人にはゴミに見えても、子どもにとって大切なものはたくさんありますよね~

なのに、なぜだか、この本のえりかとお母さんの心情には、どちらも覚えがあるような気がするのです。
不思議だな~

気に入っていただけてよかった!
コメント、どうもありがとうございます^^
[2011/02/06 01:09] URL | asagi #9kA7E2gM [ 編集 ]
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