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くじらをすきになった潜水艦
くじらをすきになった潜水艦 (1983年) (世界のどうわ)

イタリアの児童文学作家マルチェッロ・アルジッリの童話集です。


表題作のほか、「チン、チン、チンのルイゼッタ」「小さな自動車のゆめ」「魔法使いと仙女と機械」の三編を収録。

いずれも人間と機械の関係を描いた寓話で、最後の一編を除いては 機械が意志を持って行動しています。



戦争のために作られた潜水艦「ピッコリーノ」は、毎日毎日海にもぐっては、魚雷を発射するために敵の船を待ち伏せる生活に飽き飽きしていました。


おまけに、ぼくのいぶくろの中には、艦長という、がまんのならないやつがいて、いつも、ぼくのかじをとって、じぶんのいきたいところへ、ぼくをつれていく。


そんなピッコリーノが、ある日 一頭の子どものくじらに出会います。

初めて海の生きものと友だちになり、その友だちと一緒に かつてないほど深いところまでもぐったピッコリーノは、初めて見る海底の世界にうっとりするのでした。

それは、美しくて神秘に満ちた 穏やかな世界。

海にもぐるといっても、水面に潜望鏡を出して敵の船を捜すばかりの毎日では 知るよしもない世界でした。


くじらのお陰で友だちが増え、彼らと一緒に過ごすうち、ピッコリーノはだんだん苦しくなってきます。

なぜって、ピッコリーノがそれまで潜水艦仲間から聞かされた話といえば、魚雷と大砲と、沈めた船についての自慢話ばかりだったので。

そんなばかげた自慢話とは別次元のところにいる友だちを見るにつけ、ピッコリーノはうらやましくてたまらなくなるのです。


ぼくも、きみとおなじように、くじらに生まれてれば、よかったのに。 (くじらをすきになった潜水艦)





とある下町に置かれた自動販売機。

「すべての人たちのための食事――名だかいルイゼッタ社特製」

自動販売機の上の看板には、こう書かれていました。


自分が出した食べ物をおいしそうに食べる人々を見て、とても幸せな気持ちでいた機械ですが、ある日ふと おかしなことに気付きます。

「すべての人たちのための食事」と掲げておきながら、自分にできることは お金を持っている人たちだけへのサービスではありませんか。

ショーケースの中の食べ物を物欲しげに見つめる やつれた顔の人々を見るにつけ、機械はだんだんいたたまれなくなってきました。


ある夜のこと、あまりにお腹がすいていたため、100リラのコインを入れなければならないところに、やけくそになって なけなしの5リラのコインを入れた男に、機械はハム・サンドを出してやりました。

それからというもの、その男から素敵な自動販売機の話を聞いた貧しい人々が、大勢やって来るようになります。

人々は、自動販売機を ガール・フレンドのように「ルイゼッタ」と呼びました。


「ルイゼッタのところへ、食べにいこう。」 (チン、チン、チンのルイゼッタ)




空色の小さな自動車は、自分を作ってくれた組立工を好きになりました。

ずーっと一緒にいたかったのに、腕が良くてもまだ若い組立工は そんなにお金を持っていないので、自動車を買おうなんて夢にも思いません。

それならば と、小さい自動車が思いついたのは… (小さな自動車のゆめ)




昔話の時代から 星をめぐる旅に出ていて、やっと地球に戻ってきた 魔法使いのメルリーノと仙女のローザ。

ところが、地球は、まるで違う星に来てしまったのかと思うほど様変わりしていました。


高層ビルが建ち並び、アスファルトの道路には自動車がぎっしりで、空には飛行機が飛んでいます。


はるか遠くの風景を映し出す水晶玉よりもずっと画質が鮮明なテレビに、空飛ぶほうきよりもずっと乗り心地の良い飛行機。

そんな世界では、もはや二人の魔法は見向きもされません。

かつては宿賃の代わりに魔法を使って素敵な贈りものをしていた二人は、その方法ではホテルに泊まることもできず、困り果ててしまいます。



メルリーノの空とぶほうきは、バグダッドの魔法つかいたちをもびっくりさせたものでしたが、いま、飛行機の魔法つかいたちが見たら、大わらいすることでしょう。
テラコッタのなべから金貨を出す、仙女ローザの魔法も、油井をつくり出した者たちの魔法にくらべたら、みすぼらしいものでした。
 (魔法つかいと仙女と機械)




最後のお話がいちばん印象的でした。

ユーモラスで、ピリッと諷刺がきいていて、最後はなんとも寂しいというより「侘しい」がぴったりくるような。

魔法使いも仙女も、なにもそんな都会のど真ん中に下りなくても。

もっと場所を選べば、二人の魔法でじゅうぶん感謝されたでしょうに。

「宿賃の代わりに、魔法の杖で好きなだけ泉の水を噴き出させる」という提案は、給湯設備の整った都会のホテルでは「要らない」と言われても、水道がなくて日々の水汲みがたいへんな地域なら有難がられるに違いありません。

どんな問いにも答えてくれる賢者の石には、難しい数学の問題を解かせるよりももっと有意義な使い方があるはず。


メルリーノとローザと 人間たちとの ちぐはぐなやりとりにニヤリとしつつ、魔法使いや仙女がこんな目に遭う世界は、寂しいしつまらないなぁと思います。

子どもの本なのに、けっこうシビア。

「わからないのは、人間ですよ。だれの魔法かなんてこともかんがえないで、へいきで、それをつかってんですからね。」というローザの言葉に込められた作者の皮肉に、ギクッとします(笑)



イタリアの児童文学って、「ピノキオ」のほかはイタロ・カルヴィーノの本を一冊読んだきりだったので、新鮮でした。


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テーマ:児童書 - ジャンル:本・雑誌

[2011/05/24 17:55] マルチェッロ・アルジッリ | トラックバック(0) | コメント(0) | @
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