赤い実はじけた
赤い実はじけた (PHP創作シリーズ)赤い実はじけた (PHP創作シリーズ)
(1999/04)
名木田 恵子

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表題作の「赤い実はじけた」は、光村図書の国語の教科書に長い間掲載されていたものだそうです。

小学六年生になった子どもたちが、初めて国語の教科書を開いた時に見る いちばん最初のページに載っていたお話。



「急に胸が苦しくなってきて、とたん、胸の中で、赤い実がはじけたの」

いとこの千代が言ったことを思い出して、「赤い実がはじけるって、どんな感じかしら」と想像する綾子。

それは突然やってきた。

クラスメイトの哲夫と話していた時に。




作者の名木田恵子さんのところには、子どもたちからの手紙がたくさん届いたそうです。

その中に必ずあった質問「”赤い実がはじける”ってどんなことですか?」

作者によると この本は、その質問への答えになるかもしれないとのこと。



それまで苦手だと思っていたクラスメイトが、ふとしたきっかけで別人のように見えるようになった綾子。


泣き虫で頼りなかった幼なじみが、いつの間にか自分より背が高くなっていて、好きな女の子からチョコをもらったと喜んでいることにショックを受ける朝美。


好きな人から告白されて嬉しいはずなのに、母や姉の「マセてる」という言葉に、二人きりで会うことを後ろめたく感じてしまう みどり。


イタズラ電話がきっかけで知り合った十歳も年上の、顔も知らない女の人を好きになってしまった章。


父の暴力から母と弟を守ろうとして、初めて父に殴られ、それまで抑え込んでいた怒りを父にぶつけた英貴。


好きな人がいないと何度言っても信じてくれない友だちに、面倒になって適当な名前をでっち上げたものの、良心の呵責に苛まれる舞子。


ピアノが嫌いで もうやめたいと思っているのに、母と先生が怖くて なかなか言い出せない明里。




小学五、六年生の男の子や女の子を主人公にした計七編の短編集。

それぞれの「赤い実がはじける」瞬間が、時に瑞々しく、時にユーモラスに、時には痛みを伴って描かれます。


人の心の中にたくさんある小さな実が、いろいろな出来事に出会うたび色づいていき、それがいつかはじける…

心の底から何かを感じた瞬間を「赤い実がはじける」という清新な言葉で表現した作者は さすが!


私は、中でも「さよなら藤木くん」が印象に残りました。

うちの娘を見ているようで(笑)


好きな人なんていない。夢中になるタレントさえいない。

本当のことなのに、それを言うと「あたしたちの年頃で好きな子がいないなんておかしい」と言われてしまう。

そればかりか信じてもらえなくて、隠しているだけだと思われ、ちょっと話をしただけの男の子のことを「好きなんでしょう?」と決めつけられる。

小学六年生にして既に女のめんどくささ全開で、微笑ましいよりイラッときてしまいますが、本作の主人公・舞子はイラッを通り越して悩みます。


好きな人がいない、ということはそんなにはずかしいことなのだろうか。


友だちの追求がめんどくさくなってでっち上げた「藤木くん」も、友だちの口からその名前が出るたびに違う意味でドキドキしてしまい、「嘘って体に良くない」と へこむ日々。

そんな舞子が、「好き」という感情は一人一人大きさも色も形も違うのだと気付いた瞬間、「好き」の呪縛から解き放たれた彼女に拍手したくなります。


残念ながら絶版のようですが、Amazonマーケットプレイスの古本、万単位はふっかけ過ぎじゃないかと。

この本、私はちょっと前に普通の本屋さんで買ったので、ネット書店はダメでも まだ在庫のあるお店もあるんじゃないかな~と思います。


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テーマ:児童書 - ジャンル:本・雑誌

[2012/10/20 16:30] 名木田恵子 | トラックバック(0) | コメント(6) | @
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コメント
--はじめまして--
『赤い実はじけた』で検索していましたら、こちらのブログ記事に辿り着きました。
私が小学生だった頃の国語の教科書にこのお話が載っていて、27歳になった今でも「赤い実はじけた」というフレーズはなぜか覚えています。
こちらのブログを拝見させていただき、とても魅力的にご紹介されていて、またこのお話を読みたいなぁ〜と思いました。

私もブログをやっておりまして、“赤い実はじけた”の記事を書いている途中なのですが…もし良かったらですが、こちらの記事をリンクさせていただけないでしょうか?

突然のコメントでこのようなお願いをしてしまい、申し訳ありません。
ご検討よろしくお願いします。
[2013/11/23 11:17] URL | みしぇる48 #7/DQjeVk [ 編集 ]
--みしぇる48さんへ--
はじめまして。

コメントありがとうございます!
「赤い実はじけた」とても印象的なフレーズですよね。
しかも6年生の教科書のいちばん初めに載っていたのなら、尚更印象深かったと思います。

このお話を教科書で習った世代では、共通の合言葉のようになっていると聞きました。(主に恋愛的瞬間の)

私は教科書で読んだ世代ではないのですが、それでも何やら懐かしく、こそばゆいような気持ちになりました^^

リンクはどうぞご自由になさってください。
お役に立てて嬉しいです。
ご丁寧に、どうもありがとうございました!
[2013/11/23 14:39] URL | asagi #9kA7E2gM [ 編集 ]
--有難うございます!--
“共通の合言葉”
まさにそうですね!このフレーズを言うと、みんなが「あ〜!懐かしい!」と言います。そして当時は好きな人ができた時、お友達に「赤い実はじけた♪」なんて言っていたのを思い出しました(笑)

リンクの件、有難うございました^^
[2013/11/23 21:45] URL | みしぇる48 #7/DQjeVk [ 編集 ]
--みしぇる48さんへ--
「赤い実はじけた」というフレーズがそんなふうに浸透しているなんて、名木田恵子さん、作家冥利に尽きますね^^
[2013/11/24 23:06] URL | asagi #9kA7E2gM [ 編集 ]
--No title--
赤い実はじけたに表されているの主人公の気持ちは何ですか?
[2016/02/14 21:09] URL | まつ #oxD38TKk [ 編集 ]
--まつさんへ--
はじめまして。

この記事に書いてある通りです。

「心の底から何かを感じた瞬間」を作者がそう表現したので、この本の主人公の少年少女たち それぞれのケースによって異なります。

初恋に気付いた瞬間だったり、怒りを爆発させた瞬間だったり 様々です。
[2016/02/15 17:29] URL | asagi #9kA7E2gM [ 編集 ]
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