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家守綺譚
家守綺譚家守綺譚
(2004/01)
梨木 香歩

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先日、「からくりからくさ」以来数年ぶりに読んだ梨木香歩さんの小説「村田エフェンディ滞土録」にいたく感動して、リンクしているという「家守綺譚」も早速手にとりました。


各章のタイトルは全て植物の名前。
第一章の「サルスベリ」から背筋に震えが走るほど引き込まれ、第二章の「都わすれ」を読み終える頃には、この本は「当たり」だと確信しました。


余計なもの一切を削ぎ落としたかの如く、飄々とした、それでいて雅な文体。
いいなぁ。こういう文章。
読んでいてとても心地よい。こんな文章が書けたら…と、身の程知らずにもつい思ってしまうほどです。


百年とすこし前くらいの日本。
場所はおそらく京都か滋賀。(山一つ越えたところにある湖が琵琶湖らしいので)
主人公は駆け出しの文筆家、綿貫征四郎。
亡き親友、高堂の実家の家守を任され、様々な植物と琵琶湖疎水に繋がる池を庭に有した、風情ある二階家に暮らしています。


彼の周りでは様々な怪異が起こるのですが、これがもう「怪異」ではなく、「あって当然」と言わんばかり。

床の間の掛け軸からは死んだはずの高堂がボートを漕いで現れ、サルスベリの木には懸想され、雷が落ちた白木蓮はタツノオトシゴを孕み、河童は池の端に抜け殻を置き、桜の散り際には桜鬼(はなおに)が暇乞いに現れる…。


死んだはずの人が現れたら怪談であるし、木が恋をしたり河童が衣を忘れたりとなるとファンタジーですが、梨木さんの手にかかると、なぜかそうはなりません。
まるで「あたりまえの日常」であるかのように、淡々と事が運ぶのです。


高堂は何か思い残すことがあって現れたというふうではなく、近所の家を訪ねるように度々掛け軸から現れては、綿貫と話をして帰って行きます。
時には「河童衣を返してやれ」と言って河童の女の子を連れて来たり、「雷の孵る日だから」と言って白木蓮を見物に来たり。
対する綿貫も泰然としたもの。


碁敵の和尚さんはともかく、隣家のおかみさんや、出版社に勤める後輩の山内までもが、数々の怪異を実に淡々と受け止めています。
池の端に畳んでおいてあった暗緑色の物体を棒の先に引っかけ、「何ですかこれは。」と尋ねた綿貫に、おかみさんが「河童の抜け殻に決まってます。」と自信満々に応えるくだりなどは、何度読んでも笑えます。


最初のうち、高堂の家が現世と異界の交わる稀有な場所なのかと思いましたが、読み進むうちに、実は私の周りにも普通に起こっていることで、私が鈍いから気付かないだけか?という気までしてきました。


「カラスウリ」の章は、中国の故事「胡蝶の夢」を思わせます。


そして「白木蓮」の章。季節はずれの花から白い閃光と共にちいさな白竜が孵り、天に昇って行く様、その時はらりと地面に零れた白い花びらの描写はため息ものの美しさ。


半ば本気で思いました。

ああ、この家に下宿したい。




――綿貫さんは、だから、桜鬼なんぞに律儀に挨拶されるような境涯にあって、超然としているところがよいのですよ。


と、後輩の山内に言わしめる綿貫の、精神の在りようが好もしく、それは最終章の「葡萄」に結晶しています。


余韻を残して綺麗に終わった物語。読み終えてすぐ、また最初から読みたくなるような本に出会ったのは久しぶりのこと。


薄い文庫本を再びめくりつつ、この本はハードカバーで持っていたいと思いました。


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[2007/10/12 12:06] 梨木香歩 | トラックバック(0) | コメント(2) | @
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コメント
--なるほど(笑)。--
コメントレス、拝見しました。私もこちらのレビューを
読んで、気になりましたですよ(*^-^)。
こういうファンタジーの様な内容も、好きですし
どうも、近江の琵琶湖畔が舞台っぽいのも(笑)。


作中の家に住みたい影響は、判りますねぇ。
でも、ウチはただの某集合住宅ですし、さしたる
何かがある場所でもないですし(^-^;)。
まだ京都だったら、そういうとこがわんさか(ぉぃ;)
ありそうな土地なんですけどね。


近日中に本屋に行く用事があるので、まずは立ち読みで
確認してみますね。


梨木 香歩さんですが、「西の魔女が死んだ」は
持っているのですが、淡々とした感じで書かれていたので
そちらも、好きな作品だったりします。



それにしても「家守綺譚」という題名で、私は何故か
わかつき めぐみさんのマンガを思い出してしまいまして。
・・・あ、「黄昏時鼎談」だったです。(調べてみました;)
その題名と似ていたので、つい;;。


でも、家守とか桜鬼とか、わかつきさんの作品にも
出てきた(この場合は、妖怪ですが。)ので
そこからも思い出したのも、あるのですけどね(・ω・A;)。


風邪は大分、治りました。ご心配おかけしました。
ありがとうございます(*_ _)。
[2007/10/13 09:22] URL | 未森 奏 #- [ 編集 ]
--未森奏さま--
こんにちは。
そんな、すぐ反応していただけて、嬉しいです~!!!


わかつきめぐみさんの「黄昏時鼎談」
私も読んだことがあります。
あまりに昔すぎて、詳しい内容が思い出せないんですけど…。
やっぱりタイトルに惹かれて買った覚えがあるので、今も昔も私の好みってさほど変わってないんだなぁ(笑)


京都は確かに、そんなことが起こりそうな土地柄ですけど、近江も捨てがたいですよ。
もとは「淡海」と書いて「おうみ」だったそうですね。


氷室冴子さんの「銀の海 金の大地」は野洲が最初の舞台になっていて、三上山がその土地の神山でした。
ドライブの途中で三上山が見えたりすると、いろいろ想像して楽しくなりましたよ。


コバルト文庫なので、おとなはちょっと手に取りにくいのですが、おとなでも十分読みごたえのある内容でした。
続きを待ち続けているうちに、若かった私もすっかりおばさんになってしまいましたよ…。
未完なのが惜しい作品です。


話が逸れてしまってごめんなさい!
「家守綺譚」私はすごく波長の合うお話でしたが、人それぞれ好みというものがあるので、「是非に」と薦められても、自分には「ちょっと…」と思う時もありますよね~。


未森さんの好みにも合えばいいな~と思ってます。
舞台が自分になじみ深い土地だと、それだけでも楽しめたりしますしね。
[2007/10/13 12:20] URL | yukinousagi #- [ 編集 ]
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