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北風のわすれたハンカチ




どなたか音楽を教えてください。
お礼はたくさんします。
                 くま





家族をみんな鉄砲で撃たれて、ひとりぼっちのくまの子は、家の扉にこんな貼り紙をしています。
寂しくて、胸の中がぞくぞくして、だから音楽を覚えたら、何もかも忘れられると思ったのでした。


音楽の先生かと思った最初のお客は、青い馬に乗った、青い人。
髪の毛からつま先までも、つめたい青い色をして、右手にトランペットを持った北風でした。


それから一週間後にやってきたのは、やっぱり青い馬に乗った、青い女の人。
青くて長い髪をなびかせ、バイオリンを抱えた、北風の奥さんでした。


トランペットもバイオリンも、それはそれは素晴らしい音色だったけれど、くまの子の心を暖めてはくれません。
それどころか、前歯は折れ、冷蔵庫の中のとっておきのごちそうはみんな持っていかれ、暮らしまでもが寂しくなりました。


そして、くまの子の家が、半分雪に埋もれそうになったある日のこと。
訪ねてきたのは、木馬のような青い馬に乗った、青い花びらのような北風の少女。


「あたし、まほうがつかえるの。ね、むこうむいてて。」


言われた通りに五十数えて、くまの子が振り向いてみると、少女がひろげた青いハンカチの上には、ホットケーキの材料が!
少女は、ふたり分のホットケーキを上手に焼き上げ、ふたりは楽しいおやつの時間を過ごします。


青いハンカチには、ほんとうは魔法の力なんてなかったのかもしれません。
少女が使ったほんとうの魔法は、寒くて寂しくて、今にも凍えそうだったくまの子の心を暖めたことでした。


雪が落ちる時にも音がすることを、少女に教えられたくまの子は、じっと耳を澄ませます。


ほと、ほと、ほと、ほと、………
小さな小さな音でした。
けれど、やさしいあたたかい音でした。
白い花が散るときも、こんな音がするでしょうか。
月の光がこぼれるときも、こんな音がするでしょうか。



雨や風、花や木の葉、どんなものにも歌があることを、少女はくまの子に教えたのです。


北風の少女がわすれていった青いハンカチは、再会の約束にも思えて、雪のコーラスを聴きながら、くまの子は幸せな冬ごもりを迎えるのでした。


安房直子さんの初期の童話集です。
表題作のほか「小さいやさしい右手」「赤いばらの橋」の二編を収録。
1971年旺文社から刊行され、長らく絶版でしたが、昨年ブッキングから復刊されました。

牧村慶子さんの挿絵は、やさしい色合いの水彩画で、どこか懐かしい雰囲気です。


残念ながらamazonでは既に品切れのようですが、bk1にはまだありました!

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テーマ:児童文学・童話・絵本 - ジャンル:小説・文学

[2007/11/28 20:04] 安房直子 | トラックバック(1) | コメント(6) | @
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コメント
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yukinousagiさん、こんにちは♪
いつも記事を拝見して、お勧めの本を読んだ気になってしまいますe-278
この本もとっても気になりました。図書館にはあるのかなぁi-265探してみます応援ポチv-107
[2007/11/29 05:08] URL | ハコハナ #LBrq/a0E [ 編集 ]
--ハコハナさま--
こんにちは~。


お話だけなら、偕成社の安房直子コレクションでも読めるのですが、この版は牧村慶子さんのカラーの挿絵がとっても豊富なので、お勧めです。児童書ですが、絵本みたい。


ただでさえ寂しい境遇のくまの子に、誰も優しくしてくれなくて、こちらまで泣けてきそうになるのですが、最後まで読むと心から「よかった」と思えますi-179
[2007/11/29 11:15] URL | yukinousagi #- [ 編集 ]
--ええ話ですじゃ;;--
履歴から飛んでたら興味深い内容だったので目がとまりました。
こういうものを通して子供は少しずついろんなことを学んでいくんでしょうね。
そういえば小さい頃はこんな本を読んでたなあ。
[2007/11/30 22:08] URL | COFFEE17 #HfMzn2gY [ 編集 ]
--COFFEE17さま--
はじめまして!


安房直子さんの童話は、おとなになってからも時々思い出して、いいお話だったなぁ…と、しみじみ懐かしく思うものが多いです。


子どもたちには、良い本をたくさん読んでもらいたいですよね。
おとなになった時に、思い出せるような本がたくさんあればいいと思います。
[2007/12/01 16:07] URL | yukinousagi #- [ 編集 ]
--こんにちは--
こんにちは。

ブッキングスタッフのともおと申します。
毎度、弊社刊行の本をご紹介いただき、ありがとうございます。採算的には難しいこともありますが、なんとかがんばって、もう一度、世の中に出すべき本を刊行しています。こうして、あたたかくご紹介いただけることに、感謝の念を禁じえません。ありがとうございます。
11月には、安房直子コレクションに収録されていない、『コンタロウのひみつのでんわ』を刊行いたしました。こちらも、是非、ご覧ください。

と、仕事の話はここまでで、
僕も個人的に児童文学ファンで、紹介ブログもやっておりますが、yukinousagiさんが、おっ、これは、と思うあたりの作品をご紹介されているのに、注目しておりました。是非、参考にさせていただきたいと思っております。どうぞ、宜しくお願いします。

[2007/12/03 12:35] URL | ともお #- [ 編集 ]
--ともお様--
はじめまして。


ブッキングスタッフの皆様には、こちらこそたいへんお世話になっております。
復刊ドットコムさんのお陰で、リクエストしていた絶版本がたくさん復刊され、中でも安房直子さんの作品はほとんどが読めるようになりました。
本当にありがとうございます!


今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

[2007/12/03 14:55] URL | yukinousagi #- [ 編集 ]
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『春の窓~安房直子ファンタジスタ~』は「女性のため」の本?
帯に「おとなの女性のための」という宣伝文句が書かれているので、安房直子ファンの男性としては、少々、抵抗を感じてしまいます。
[2008/11/03 16:41] 北村正裕のナンセンスダイアリー
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