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春になったら莓を摘みに
春になったら苺を摘みに (新潮文庫)春になったら苺を摘みに (新潮文庫)
(2006/02)
梨木 香歩

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梨木香歩さんのエッセイ。


英国に留学していた頃の、下宿の女主人であり師でもあったウェスト夫人をはじめ、様々な人々との出会いが、相変わらずの美しい文体で綴られています。
解説にもあるように、(たとえ本人にそのつもりがなくとも)「下手をすると鼻白む自慢話、体験談に陥ってしまう」エピソードも、梨木さんの手にかかると読んでいて心地良いばかり。
彼女の小説を読んでいつも惚れ惚れする、簡潔で美しい文体。このエッセイは、それに加えて「隙がない」という印象を受けました。
梨木さんの冷静な観察眼の賜物か、あるいはご自身の美学によるものか、この本を読んで上記のような理由で不快に思う人はいないと思います。



児童文学者でもあるウェスト夫人は、「ほんとにこんな人がいるんだ!」と驚くほどの稀に見るお人好しで(失礼)、ユーモアを解し、尚且つ聡明なご婦人です。
あらゆる人種、国籍の人々が出入りするウェスト夫人の下宿は、「村田エフェンディ滞土録」のディクソン夫人の下宿を彷彿とさせて、ちょっと嬉しくなりました。
「梨木香歩」という作家を形作るものの一端を垣間見たような気がします。
それほどに、ウェスト夫人との出会いと英国での暮らしは、作家である彼女に並々ならぬ影響を与えたんだなぁと。
「理解はできないが受け容れる」というウェスト夫人の姿勢は、「村田エフェンディ滞土録」の登場人物たちに感じた印象、まさにそのものでした。



ほとんどの人が聴覚に障碍を持つという大家族のなかで育ち、ウェスト夫人の言によれば「信じられないくらいドラマティックな出来事ばかり起こる」という、ジョーという女性。


ウェスト夫人の別れた夫のナニーで、八歳で奉公に来てから八十八で死ぬまで独身のまま、家事一切のエキスパートとして勤め上げたドリス。


関西空港へ向かう電車の中で出会った、カリフォルニアで生まれ、戦時中をアメリカの強制収容所で過ごしたという日本人男性。



正義漢で、反骨精神旺盛で、冗談好きで頭の回転が速く、他人に親切な、ギリシャ人のエマニュエル。



出会った人々との交流が、下手な同情も偏見もなく、ただ穏やかに、流れるように綴られます。
時には悲しんだり憤慨したりしつつも、決して主観だけで語ることはなく、相手の立場や境遇を思いやり、読む人に誤解を与えぬようにという気配りが見られるから、梨木さんの文章は読んでいてこんなに心地良いのかもしれません。



文庫版のための書き下ろしである「五年後に」は、日本にやってきたエマニュエルの話。
彼は「オオキニ」というたった一言の日本語と笑顔だけで、ガイドもなしにひとりで京都、奈良、大阪、熊野を観光したそうです。
箸の使い方をマスターしたいと言い出し、滞在中に格段の進歩を遂げた彼は、帰りの飛行機の中で割り箸を断り、梨木さんにプレゼントされた箸を使ったことで、スチュワーデスに甚く感動されたとか。


前章「最近のウェスト夫人の手紙から」で、ちょっとしんみりした後の、思わず顔が綻んでしまう楽しいエピソードでした。

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テーマ:エッセイ/随筆 - ジャンル:本・雑誌

[2008/02/06 15:20] 梨木香歩 | トラックバック(0) | コメント(2) | @
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コメント
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こんにちは♪

本屋でこの本を手にした時、
梨木さんのエッセイっていったいどんなだろう・・?とワクワクして苺の表紙を眺めました。

yukinousagiさんのおしゃるとおり、隙がないという言葉がぴったりだと思います。
梨木さんの真摯な生き方、美学、というものを強く感じるエッセイでした。

梨木さんの生活感や、くだけた素顔を少し期待して手に取った本でしたが、
読み終えてみると、これでこそ梨木さん!というエッセイでした。

一度、梨木さんのお顔を拝見したいなぁv-22
[2008/02/12 15:55] URL | mija #- [ 編集 ]
--mijaさま--
こんにちは。いらっしゃいませ♪


エッセイって、作者の素顔を見られるような気がして、小説とは別の意味でワクワクしますよね。


ほんとにこのエッセイは、梨木さんの作品のイメージそのままの、凛とした雰囲気を纏っていました。


でも、その中にもちょっと親近感の湧くようなエピソードもあって、嬉しかったです(*^_^*)


「作者のイメージにとらわれず、自由な発想で読んでほしい」という思いから、顔写真を公開されないそうですが、ほんとに、一度お顔を拝見したいですよね。
[2008/02/13 15:17] URL | yukinousagi #9kA7E2gM [ 編集 ]
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