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忘れ川をこえた子どもたち
忘れ川をこえた子どもたち忘れ川をこえた子どもたち
(1979/01)
マリア・グリーペ

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「おくりものをもってきてくださるとき、あなたはわたしの願いごとを盗んでいらっしゃるのよ。
おわかりにならないの?」





スウェーデンの作家、マリア・グリーペのファンタジーです。
ファンタジーといっても、冒険ものとは違い、派手な展開も戦闘もなく、どこまでも深い静けさと仄暗さに包まれています。
児童書でありながら、ひとつひとつのエピソードが何かの象徴のように意味深で、むしろおとなが読むほうが、考えさせられたり共感したりするかもしれません。


貧しいガラス職人アルベルトと、美しい妻ソフィア。
二人の子ども、姉のクララと弟のクラース。
賢い魔女フラクサと片目の大ガラス、クローケ。
忘れ川の中州にある不思議な館に住む領主夫妻。
大柄で威圧的な子守り女のナナ。

主要登場人物はこれで全部です。



北欧神話に通じる箇所が多く見られ、クローケが片目を失った経緯などは、知恵と引き換えに片目を失くした主神オーディンのエピソードそのまま。
ただし、オーディンと違って、クローケが失くしたのは「夜の目」で、その為、この世の「影」(例えば悪いもの、醜いもの、悲しみや憂鬱)と名のつくものは一切見ることができなくなりました。
善いもの、美しいものしか見ることのできないクローケは「賢い」とは言えず、少々あさはかなのです。(※クローケは「賢い」という意味の言葉)
残された「昼の目」と、知恵の泉に沈んだ「夜の目」、二つが揃って初めて本来のクローケとなるのでした。



腕は良いのに商才がない、根っからの職人であるアルベルトと、本当は子どもたちを愛しているのに、はずみで「子どもなんかじゃまなだけよ」と言ってしまって、激しい自己嫌悪に陥るソフィア。
この二人は、本当にどこにでもいそうな夫婦で、良いところも悪いところもひっくるめて、とても人間的です。


対して、忘れ川の中州に住む領主夫妻は、なんとも現実離れしていて、まるで架空のお城で王さまごっこをしている子どものよう。
人に感謝されることが大好きな領主は、何一つ自分のものを持たない貧しい少女を妻にして、その願いを叶えてやることに至福の喜びを感じています。
でも、その妻はといえば、願いを自覚する前に、その願いが既に叶えられているという現実に飽いてしまい、何一つ願いごとを口にしなくなったのでした。



「どんな願いでもみんなかなうのなら、わざわざお願いしてもしかたないんじゃありません?」



傍から見ればずいぶんと贅沢な言い草です。
でも、そう言われてみると、人というのは「いつかは自分で叶えよう」と思う願いをひとつやふたつ持っていたほうが、本当は幸せなのかもしれません。


たったひとつ、夫人が何かの折に口にした「子どもがほしいわ」という言葉に、領主がしたことは、貧しいガラス職人の子どもたちをさらってくることでした。
彼にしてみれば、子どもたちを「引き取る」ことは、貧しい家庭の負担を減らしてやり、子どもたちは裕福な暮らしができ、妻は喜び、自分は妻に感謝される、まさに一石四鳥の「善行」なのでした。
少なからずあると思われる問題点、自分に都合の悪い点に関しては、かけらも思い至らないのです。


「見た目はオトナ、頭脳はコドモ」の人が、なまじ地位も財力もあるだけに、よけい始末に負えないのでした。


忘れ川を越えたせいで、向こう岸での記憶を全て失くしたクラースとクララは、領主の館で暮らし始めます。
裕福な家の子どもになったからといって、二人は少しも幸せではありませんでした。
領主夫妻は優しいけれど、あまりかまってくれないし、夫人のことを「かあさん」とは呼ばせてもらえません。
そのうち、奇行に走るようになったクラースに、「寂しいのかもしれない」と思った領主が雇った子守り女のナナは、子どもたちを支配し、押さえつけるだけの恐ろしい人でした。



魔女フラクサが、「夜の目」を取り戻したクローケを連れて領主の館を訪れるまで、子どもたちの不幸と領主夫妻の憂鬱は続きます。



「自分自身の主人になれない人は『領主夫人』ではありません。」と、夫人にきっぱり言ってのけたフラクサが、館を去る時初めて「ご領主様」「領主夫人」と、二人を呼んだのが印象的でした。
領主がその時初めて心から口にした「ありがとう」という言葉も。



北欧の神話や伝説に詳しい人なら、この物語にはもっとたくさんの発見があるかもしれません。



「夜のパパ」と同じ、この本の挿絵もハラルド・グリーペの版画で、静かで仄暗い物語の雰囲気にとてもよく合っています。

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テーマ:児童書 - ジャンル:本・雑誌

[2008/02/19 14:43] マリア・グリーぺ | トラックバック(0) | コメント(0) | @
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